ごめんなさいねぇ
「結局さぁ・・・」

知美がゆっくりと沈黙を破った。

「なによ?」

聞いては見たが夏子は次の言葉が容易に想像できる。

「夏子は結婚したくないの?」

やっぱりな・・・

「今、したいかしたくないかは自分でもわからない。
でも、結婚をしたいと思う自分が今までいなかったんだよね。
それが突然、付き合っている相手から言われて、考え直そうとしているってところというのが正直なところよ。」

知美の表情は不満そうだ。

「なるほどねぇ~、わかるようなわからないような・・・。
でもさ、考え始めるって事は暁生君のことが好きなんでしょう?」

「そうねぇ~、私の場合、嫌いだったら口も利かない性格だし、これだけ付き合ってるんだから今更『嫌~い』って言うわけには行かないよね。」

我ながら往生際悪い回答だと思ったが、

「なんだか、難しい考え方するよね、昔から、尊敬するよ。」

知美に嫌味とも取れる返事をされてしまった。


「ごめん、これ以上この話はやめよう!もう少し考えがまとまったらまた聞いてよ、ね!?」

わけがわからなくなってきた夏子は話題を方向転換することにし、二人の共通の友人の噂話をいつも通りした後、二人は店を後にした。
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