ごめんなさいねぇ
「なんか、今日、二人、テンション高くないですか?」

ジョッキ半分のビールを一気に喉に流し込んでから良太が聞いた。

「テンション?いつもと違うかな?」

夏子が考えながら聞くと、

「ま、姉さんはいつもどおりきっついとして、直人さんはかなり高いですよ。」

少々不思議がる良太に、

「まぁ、ヤケクソって感じぃ~?」

直人がしなを作ってみせる。

「あはは、実はさ、直人がオカマだって噂が社内で有るらしいよ。」

夏子が茶化すように言うと、

「あ、俺、それ聞いたことあるよ!」

どうやら良太は以前から噂を耳にしていたらしい。

「おっまえ~、なんでもっと早く言わないの?」

ちょっと拗ね気味の直人に、

「言ってもどうにもならないじゃないですか。それに、仕事中にそういう話を耳打ちしたって面白くないもん。」

良太はちょっと勝ち誇ったような表情だ。

「っんだよぉ~、なんか、感じわるぅ~い!あ、でもさ、噂といえば、良太、平田あやとどうなってんの?ちょっと付き合ってなかったっけ?」

直人の立ち直りは早い。

「あ~、別れました。」

良太がさっさと答えた。

「え?別れたって、あんた、いつからいつまで付き合ってたの?」

しょっちゅう三人で飲んでいるのにいつの話だかさっぱり思い出せない。

「えっとぉ~、ゴールデンウィークからぁ・・・七夕までです!」

良太が口を尖らせて答えた。

直人と夏子は眼を合わせて呆れたポーズを見せた。

「あんたさぁ~、2ヶ月で『付き合いましょう』とか『別れましょう』とかやるわけ?すごいね、それ!きちんとしてるんだかいい加減なんだかわかんないね!」

本気で不思議がる夏子の言葉に直人が笑っている。

「何が可笑しいんですか!!いいと思ったから付き合って、ダメだと思ったから別れる野のどこがいい加減なんですか?大体、姉さんみたいにずっと友達だった相手と付き合っているほうが俺には不思議だよ!」

2ヶ月の交際を笑われた良太がムキになっている。
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