ごめんなさいねぇ
「わかった。もう、夏子にワイシャツを洗わせないよ。」

暁生はタバコに火を着けながら飄々と答えた。

「週末に車で夏子の部屋からワイシャツを持って帰ってかあちゃんに洗ってもらえばいいよね。」

すっかり解決したようなしたり顔だ。

「あんたさ、この話、そもそも『結婚してくださいよ』って言葉から始まっているの知ってた?」

ムキになっている自分が馬鹿なのか?

私の話を根本的に理解できない暁生が馬鹿なのか?

はたまた暁生との共存が無理難題なのか?

とにもかくにも馬鹿馬鹿しくなって来た。

「あ、そうか、で?結婚してくれますか?」

脱力するにも程がある。


「あのね、クリーニング以外にも、普通の大人として一通りの生活必要な作業が出来るようになったら考え直すよ。」


夏子にしてみれば精一杯の譲歩だったが、

暁生の答えは何も変化がないものに思えた。


「わかった!なんでもしますよ。」


この流れでわかっているわきゃないよ。

「とりあえず、飲みましょ。」


夏子から出る言葉はこの一言が精一杯だった。

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