16歳。ー10年越しの約束ー




6階のショッピングゾーンにあるクラウンは、壁や棚は黒で統一されて大人っぽい雰囲気の店だ。カッコいい服が多く、お客さんも多い。


クラウンの前に着くと、奥で服を畳ながら「いらっしゃいませ。」と声を出している瞬さんを見つけた。


瞬さんはこっちに気付き、
「おー、いらっしゃい!」と言ってくれた。


「こんにちは!」
と、元気な声で言うと小雪はそのまま店内に入ってウロウロしだした。


「龍!今日の服装もばっちし決まってんじゃん!今日も俺が見立てたかいがあったな!」

瞬さんは俺に近付くとそうコソっと耳打ちした。



実は今日も俺は瞬さんの力と服を借りていた。



『駅ビル行くんなら、今、うちのショップに置いてない服で攻めてたがいいな!』


瞬さんのあの時の言葉の意味がようやくわかった。


自分が来ている服があるショップにいくなんて恥ずかしすぎる。
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