もっと傷つけばいい
情事ですっかり疲れてしまった躰を、
「――ナギ」

ソウはあたしの名前を呼んだ後、あたしの頭をなでた。

慈しむような彼の眼差しに、あたしの心臓がドキッと鳴った。

「――ねえ、ソウ…」

あたしは、彼の名前を呼んだ。

「どうして…あたしが写真を持ってたことがわかったの?」

その質問にソウは少し目を見開いたけど、理解したみたいだった。

「ここしか、失くすところは考えられなかったから」

ソウはあたしの頭をなでていた手を離した。

「返してくれるのかい?」
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