もっと傷つけばいい
ソウの両手があたしの前に差し出された。

「別れてしまうくらいなら、永遠に僕のそばにいればいい」

ソウの両手があたしの首にかかった。

「――えっ…ソウ…?」

何をするの?

ソウは悲しそうに目を細めた後、あたしの首から両手を離した。

「今みたいに、この手でナギの首を絞めたんだ。

眠っていたナギの躰に乗って、首をかけて…後は…後は…」

ソウは何も聞きたくないと言うように、耳を塞いだ。

「――ッ…」

あたしに顔を寄せたと思ったら、彼は泣き始めた。
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