もっと傷つけばいい
「――許してくれ…。

許してくれ、ナギ…」

苦しそうにしゃっくりをあげながら、ソウが言った。

「本当は、君を殺したくなかった…。

君が好きなだけだった…。

愛していただけだった…。

殺すつもりなんてなかった…」

泣きながら言う彼を、あたしはどうしたいのだろう?

こんな時、“ナギ”なら彼をどうしていた?

「僕のそばに置いたって、君はますます僕から離れるだけで…。

でも僕はただ君がそばにいて欲しくて…」

ソウは離したくないと言うようにあたしの背に手を回して、強く抱きしめた。
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