もっと傷つけばいい
「着替えとかシャンプーとかの日用品は必要だろ?

それとも、50万じゃまだ足りないと…?」

「そ、そうじゃなくて…!」

勝手に続けようとするソウを、あたしは落ち着かせた。

「あなたは、一体何者なんですか?」

あたしの質問に、
「何だ、そう言うことか」

ソウはやれやれと言うように息を吐いた。

それから、
「僕は谷宗一(タニソウイチ)」

ソウは自分の名前を名乗った。

だから、みんなは彼のことを“ソウ”って呼んでたんだ。

納得したあたしに、
「君は?」

ソウが聞いてきた。
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