もっと傷つけばいい
だから、あたしはその境界線を越えちゃいけない。

間違っても、あたしはその一線を越えちゃいけない。

そう思っていたら、
「――ナギ」

ソウがあたしの名前を呼んだ。

視線を向けると、ソウがあたしの顔を覗き込んでいる彼の視線がぶつかった。

「――何…?」

あたしはちゃんと言えてただろうか?

突然ソウに顔を覗き込まれて、あたしは驚いた。

あたしの動揺が、彼にバレていないよね?

そう思っていたら、ソウの端正な顔が近づいてきた。

「――えっ…?」

あたしは驚いた。

ソウ、一体どうしたの?

映画を観ていたんじゃなかったの?
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