もっと傷つけばいい

「――もっと傷つけばいい」

綺麗に整った眉を悲しそうに下げて、ソウが呟くように言った。

「――えっ…？」

何ですって？

そう言おうとしたあたしの言葉は、ソウの唇によって塞がれた。

――塞がれた…？

「――ッ！？」

その状況に気づいて、あたしはソウの肩を押そうと手を動かした。

だけど男の強い力が、あたしの力を阻止した。

ソウ、一体何をしているの？

またあたしをからかっているの？

ソウの唇が、あたしの唇から離れる。

彼は何事もなかったと言うように、また映画の方に視線を向けた。