もっと傷つけばいい
9月の終わりだと言うのに、まだまだ残暑が厳しかった。

待ちあわせ場所の駅前は、人が多かった。

当たり前だ、休日なんだから。

空いていた木陰を見つけると、あたしは息を吐いた。

スマートフォンをいじりながら、ソウがくるのを待っていた。

その時だった。

「――夏子?」

その声に、あたしの手からスマートフォンが落としそうになった。

――何で…?

予想外の出来事に固まっていたら、
「やっぱり、夏子だ!

あたしのことわかる?

お姉ちゃんだよ?」

彼女が、あたしの顔を覗き込んできた。
< 46 / 140 >

この作品をシェア

pagetop