もっと傷つけばいい
何で?

どうして?

どうして、あなたがここにいるの?

「――夏子って、誰ですか?」

震える声で、あたしは彼女に尋ねた。

違う、あたしは“夏子”じゃない。

あたしの名前は“ナギ”こと、“渚”だ。

動揺している自分に何度も言い聞かせながら、
「人違いだと、思いますよ?」

そう言ったあたしに対し、彼女の大きな目が見開かれた。

「そんなはずないわ!

妹を間違えるだなんて、ありえないわ!」

彼女は否定するように首を横に振った。
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