もっと傷つけばいい
視界にソウが入ってきて、あたしを見下ろした。

あたしたち…今とんでもない状況になっていないかしら?

ソウに押し倒されて、ソウに見下ろされているんだよね?

寸前…ってヤツ?

そう思っていたら、ソウの顔があたしに向かって近づいてくる。

「――ま、待って!」

その瞬間、あたしの口から出てきたのは制止の言葉だった。

何してるのよ、あたし。

そもそもこの状況を作ったのは、あたしの方からじゃない。

あたしがソウにキスしようとしたから、この状況でしょう?

だから、今さら後戻りなんてできない。
< 64 / 140 >

この作品をシェア

pagetop