もっと傷つけばいい
「――ナギ」

ソウがあたしの名前を呼んで、おいでと言うように手招きをしてきた。

あたしはそれまで料理をしていた手を止めて、ソウに歩み寄った。

「――ナギは、恨んでるかい?」

あたしに視線を向けた後、ソウは悲しそうに言った。

「――恨んでる、って…?」

むしろ、感謝してるくらいだ。

なのに、どうしてあたしがソウを恨むの?

「君の中に僕の思いはなかった。

だけど僕は君を縛りつけた。

縛って、傍に置いた」

「ちょっ…ちょっと、ソウ?」

ソウは一体どうしたの?
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