【完】ダンデライオン






おばあちゃんは、にっこりと頷いた。



「えぇ。全部、知っているわ。」




「…何で、それをエルノに言わないの?」




事情も知りたいけど、私の一番の疑問はそこだった。


おばあちゃんは、うーん…と少し返事に悩んでいるみたいだけど、私の質問に答えた。





「全てを知っていることが、幸せとは限らないから。」





マグノアと、同じこと言うんだな。



……でも、そういう風に言うってことは、やっぱりエルノにとって良いことじゃないからってことなんじゃないの…??




「それって、エルノにとって良くない話だからなんでしょ?」




おばあちゃんは、うーん…と少し考え込んでいた。




「エルノにとって、どういう意味を持つのかはエルノ次第よ。」




「そんな…!エルノは辛そうだったよ!だったら、教えてあげた方が…!」




本人の受け止め方次第だって言うのなら、黙っておく必要はないじゃん!
エルノの悲しそうな顔を思い出せば、そういう風に言い募ってしまう。




「そうね…エルノにとっては、きっと知っていた方が良いと思う。」




おばあちゃんは、私の言葉に頷く。

でも、首を振る。





「だけど…おばあちゃんには言えない。エルノは、きっとショックを受けるから。それと…そんなエルノの姿を見たくない…っていう、おばあちゃんのワガママ。」




「………」





私には、詳しいことは分からない。
事情もまだ聞いてないし、本当に正しいことであるのかも分からない。




でも、今分かることは、間違いのないおばあちゃんの愛情だった。





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