【完】ダンデライオン






「おばあちゃんはね、昔…雪の国の女王だったの。」




「ええぇぇ!?おばあちゃんが!?女王!?」




私の驚きのリアクションが想像出来たのか、おばあちゃんはアッサリしていた。





「えぇ。国王が私の旦那。エルノのお父さんである国王は、私の子どもよ。」





やっぱり、本当はエルノのおばあちゃんなんだ。


おばあちゃんとは血縁がないと分かって、どんな態度をとって良いのか……居心地がちょっと悪くなる。



そんな私の心境に気付かず、おばあちゃんは話を続ける。





「雪の国で生まれて、オオカミと共存しながら育って、旦那となる国王と結婚して……子どももいて、私は幸せだった。」





国王とは、恋愛結婚だったらしい。
幸せだった頃のことを思い出しているのか、おばあちゃんはうっすら微笑んでいた。





「でもね、おばあちゃんには…夢があった。」




「夢……?」






「それは、些細なことだけど…叶わない夢。」




「それって……?」




おばあちゃんは、フッと笑った。








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