【完】ダンデライオン





「お花が、見たかったの。」




「花…?」




おばあちゃんは、紅茶の注がれたティーカップを手にとった。
そして、一口すすった。




「ヒマワリの花と…たんぽぽの花。異世界のことが載っている本で、見たことがあったの。その花を、この目で見てみたかった。」





それが、おばあちゃんの夢だった。





「だけど、それはあの雪の国にいては叶わない。だから…私は、異世界へと雪の国を飛び出した。」





「と…飛び出し…!?」





「えぇ。決断してからはもう、とても早かったわね!」





「そ…そうなの……?」





……まさかおばあちゃんから、そんなブッ飛んだ話が聞けるとは思わなかった……



おばあちゃんは、えへへ…って顔をしている。
その様子はとても可愛らしいけど……可愛いだけじゃない人だと今、分かったばっかりだ。





「私は、お花が見たいという夢を叶えたくて、異世界へと移り住んだ。その時は、旦那も一緒に来てくれたのよ。」





「へぇ……夫婦で?…あれ?じゃあ、雪の国の王様は!?」




「もう、今の国王が20歳になっていたから、王位を継承していたの。」




そっか…エルノのお父さんである国王は、自分が王位を継承した後、両親は異世界に行ってしまったってことか…







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