【完】ダンデライオン
おばあちゃんは、きっと自分の子どもである国王のことを思い出しているんだろうなぁ。
その顔はとても優しくて、私のママと同じだった。
きっと、これが「母の顔」っていうものなんだろう…。
おばあちゃんのそんな顔を見たのは初めてだった。
「きっと…国王になってから、すごく大変だったでしょうね…たった一人の大切な息子に、悪いことをしてしまったと思ってるの。」
でも、もう謝ることもできないわね…とおばあちゃんは、ポツリと呟いた。
私は最早、何と声をかければ良いか分からない…。
全部話してと頼んだのは私だけど、さすがに会話が重すぎる…。
私が返答に悩んでいると、おばあちゃんはそれを察したみたいでニコッと笑った。
「でも、過ぎたことだもの。引きずったりしていないから、気にしないで!」
「………。」
…おばあちゃんは笑ってそう言うけど、本当に引きずってないんだったら、そんな言葉は出ないと思うんだけど。
「………」
「………」
私が言葉に困って黙っていると、おばあちゃんもしばらく黙っていた。
おばあちゃんは何を思ったのか、ため息をついた。
「はぁー……あー、もう。調子狂うなぁ。」
おばあちゃんは、バサバサと乱暴に髪の毛をかき混ぜて乱した。
…イライラしてるのかな?