【完】ダンデライオン
「……?」
おばあちゃんは、はぁーとため息をついて、吹っ切れたように笑った。
「……たんぽぽちゃんみたいに空気が読めて、察しが良くて、目ざとい子を誤魔化すのは難しいね。」
おばあちゃんは、ごめんね、とだけ言った。
「本当のことを言えばね、ずっと後悔しているの。私の夢のために…国王である旦那にも国を捨てるようなマネ……」
「………」
「異世界に移り住んで、私はこの部屋でだけ魔法が使えるようにした。この世界には、魔法がないから…魔法陣を書いたの。」
おばあちゃんは床にある模様を指差した。
これが魔法陣らしい。
……もともとおばあちゃんの部屋は薄暗くて、「これが魔法陣だよ」って言われれば、そうなの?って感じだけど…。
ぶっちゃけ、よく分かんない。
「お花が見たくて移り住んだ異世界は、大変なことだらけだった。さっきも話したけど…食事も苦労したし、生活文化の違いとかもね。」
「…そっか。」
「その後、旦那も亡くなってしまってね…私が国を連れ出してしまったこと、後悔したわ。」
おばあちゃんは、本当は色んな後悔を抱えていたんだな…と思った。