【完】ダンデライオン
「まぁ、それは良いとして。その老婆の占いで、自分の止まる年齢が分かるの。……エルノは、それが19歳で止まっていてね…」
…それで、エルノは小さな頃から成長したものの、19歳のまま年齢が止まっていてハタチにはなれないのか…。
「彼女の占いは外れないから絶対よ。そして、幼少期に魔法がかかって、年はとるもののずっと冬の景色だけを見てきたエルノは、春を知らない。」
「そういうことだったんだ…」
全てに納得がいく説明を受けて、理解してきた。
「それが、エルノに言えない理由なの?」
おばあちゃんは「んー…」と聞いてるのか聞いていないのか…。
曖昧な反応をしつつ、ティーカップの持ち手をなぞっている。
「そうね。結論からいくと、こんな感じ。でも…エルノにとっては、辛い話だと思うの。」
「……うん。」
「エルノがこの現状に、沢山の苦労をしていること…聞いているわ。それを聞くたびに、私は…後悔でいっぱいになる。」
おばあちゃんは、辛そうに眉間にしわを寄せた。
「でも、その理由が自分の父親で…もうこの世にはいなくて、どうにかする手立てが誰にも分からない……それを知って、エルノに良いことなんてあるのか…」
「………」
そう言われれば、そうだなと納得した。
知らない方が、幸せなこともあるのかもしれない。