【完】ダンデライオン
「み、ぎ胸を……」
あまりの衝撃に、うまくろれつが回らない。
「そう。槍のようなもので…ということらしいわ。」
「………」
黙り込んだ私を見て、おばあちゃんは困った顔をした。
そして、私のティーカップの冷えた紅茶に気付いたみたいで、私のティーカップに向かって左手の人差し指を向けた。
クイ、と指を動かした後、私のティーカップからは湯気が立ち上った。
「ごめんね…突然、こんな話。紅茶、あっためたから飲んだら落ち着くかも…。」
おばあちゃんに言われるがまま、湯気の出ている紅茶を口に含む。
ちょっと熱いくらいだったけど、あたたかさに、ホッとする。
その様子を見ていたおばあちゃんも、ほっと一息ついた。
そして、また険しい顔に戻った。
「まぁ…国王が魔法をかけた理由と、亡くなった理由が、一番のあの国の謎なの。エルノはまだ子どもだし、マグノアが…人を殺すとは思えない。」
「確かに。」
マグノアは、国王のことを優しい人だと言っていた。
そんなマグノアが……やっぱり、ありえないと思う。
「でも…私は全てが終わってから雪の国に行ったから…全部聞いた話なのよ。マグノアに聞いてみたら、分かるかもね。」
「マグノアに…?」
「えぇ。私が聞いた話も、マグノアから聞いたことだから。」
「えっ…?」
そっか、おばあちゃんは国王が亡くなったから雪の国に行ったって言ってたから、直接見てはいないのか……。
でも、それって…マグノアが嘘をついていても分からないってことなんじゃ………