【完】ダンデライオン






今、何て言った?




「えっ…!?今、何て…」



「たんぽぽちゃんが、手がかりだと思ってるの。」





「は………はぁぁぁあああ!?」




私は、驚きと衝撃のあまりにイスから転がり落ちそうになった。


おばあちゃんは、至って普通な顔をしている。…からかっているわけでは、ないみたい。



でも、それにしても意味が分からない……




「な、何で私が…?異世界の人間なのに……」




私が、雪の国へ春をもたらすことが出来るかもしれないって言いたいの…?


私の疑問への、おばあちゃんの回答はずいぶんとシンプルだった。




「んー……遺伝子的な話かな。」




「い……遺伝子…?」




ますます意味が分からないっ!!




混乱している私をチラッと見ながらも、おばあちゃんはティーカップたちを片付け始めた。


カップやソーサーを重ねたりと、動かすたびにカチャ…と陶器が繊細な音をたてる。



おばあちゃんは、私の方をジッと見た。私は頭を抱えていたけど、視線を感じて、おばあちゃんに視線を返す。




すると、おばあちゃんはニコッと笑った。





「そんなに気にしないで。もしかしたら、って話だから。」




「いや、気になるよ……」




気にしなくて良いんなら、言わないでいてくれたら良かったのにー。
さすがに文句は言えないけど、そう思ってしまう。








< 122 / 286 >

この作品をシェア

pagetop