【完】ダンデライオン
「たんぽぽちゃん、私が渡した鏡…ちゃんと持ってる?」
「え…?う、うん。借りたリュックに入ってるけど…」
「そう。肌身離さず、持っていてね。」
「……?……うん。でも、何で?」
何故、鏡を肌身離さず持っている必要があるのか……さっぱり分からない。
雪の国の人たちは身だしなみに厳しいから、常に自分の外見には気をつけろ、とか…?
「きっと、必要になるから。」
「…それは、どういう……」
おばあちゃんは、ニコッと笑ったきり、何も話さなかった。
「あぁ、あと…魔法の言葉も、忘れないでね。これもきっと、必要になるから。」
「………うん。」
会話はそこまでで終わった。
おばあちゃんは、私に少し休むように言ってきた。
「たんぽぽちゃん、夜の間に雪の国に行ってたし…さすがにスグ雪の国に戻るのは無理よ。」
そう言われてふと、疲れを自覚する。
神経が張り詰めた時間が多くて、疲労を感じることさえなかったな…。
…そっか、もう朝になってるし一晩徹夜したのか……
「たんぽぽちゃんのお部屋で休んで、また夜になったら雪の国に戻ったらどう?」
「あ……でも、マグノアが待ってるって言ってたし…」
「大丈夫よ!ちゃんと私から言っとくから。」
おばあちゃんにそう促され、私にと用意されていた部屋に連れていかれた。