【完】ダンデライオン
もう少しで完全に陽がのぼる。
薄いレースのカーテンはひかれているものの……明るい室内に、眠れるだろうかと心配になる。
おばあちゃんがベッドに入るようにグイグイ促すから、素直にベッドに入る。
すると……おばあちゃんは、ベッドの隣に置いてあるイスに座り、優しい指づかいで私の髪をすいている。
何だか心地よくて、そっと、目を閉じる。
「大丈夫。もう、眠れるわ。」
おばあちゃんの声が、優しく響く。
おばあちゃんの姿を見たいのに…まぶたが持ち上がらなくなる。
まるで、魔法のように。
「お、ばあちゃ……」
まだ、眠りたくない…
「たんぽぽちゃん……」
おばあちゃんの名前を呼ぶ声を最後に、私は眠りに落ちた。
「たんぽぽちゃん、私のことをおばあちゃんって呼んでくれて…ありがとうね……」
おばあちゃんの言葉も、笑顔も、知らないまま。