【完】ダンデライオン
おばあちゃんは、左手の人差し指をクイ、と曲げた。
テーブルの上に、突然お皿に乗ったパンのようなものが登場した。
丸みがあって、ふわふわした見た目のグレーの色をした、パンのようなもの。
パン?に見えるけど、パンだとしても何が入っててこんなグレー色なのかが分からない……。
「…何これ?」
「んー、この世界で言うとパン?みたいなもの?雪の国の食べ物よ」
パン?みたいな?、ってなんてアバウトな返事…。
主食なの?
何て名前なの?
何が入ってるの?
美味しいの?
疑問がありすぎて、何から聞いたら良いか分からない……。
戸惑う私を見て、おばあちゃんはゆっくり順を追って説明してくれた。
「これは、"ファム"っていう食べ物なの。紅茶と一緒に朝ごはんとして食べるのが一般的かな。」
「へぇ…これって何が入ってるの??」
何気なく、このファムって名前の食べ物を手に取る。
見た目通り、ふわふわしていて軽い。