【完】ダンデライオン
「……心配だけど、そこまで言うなら仕方ないわ。あなた、またこの国に来るかしら?」
「あ……はい。」
「今日会ったカフェでいつも働いているから、またこの国に来た時には寄って?ご馳走するわ。」
「へ…!?」
お姉さんは、ニコッと笑った。
その笑顔は、とてもキレイ。
「私はケイス。また来た時には、元気な姿を見せてね。」
「ケイス、さん……。私は、たんぽぽです。」
カフェのお姉さんの名前は、ケイスさんというらしい。
エルノの悪口を言っていたものの……
私のことを心配してくれていたし、その笑顔を見ていたら、決して性格の悪い人ではないと思えた。
「……気をつけてね。たんぽぽ。」
「…はい。」
ケイスさんは、左手の人差し指を宙に向け、くるりと輪を描いた。
すると、ドサドサっと大量の食糧が出てきた。
生肉とか、果物とか木の実みたいなものが沢山、雪の上に落ちて来た。
それを確認したケイスさんは、門の中に戻って行く。
そしてそれを見たパットは、左手の人差し指で門の扉を閉じる。