【完】ダンデライオン
マグノアは、私を見て話してはくれなかった。
『私の仲間たちが、ニンゲンと争うことのないように……私は見張っているんだ。』
「争い?オオカミと…ニンゲンが?……ありえるの?」
確かに、エルノも国民が森に出られない理由は、オオカミとの争いを避けるためだと言ってた。
でも、私は気にしてなかった。
だって、信じられなかった。
言葉も通じないのに争うなんて。
でも、ニンゲンも、オオカミも、どちらもがそう思ってるってことでしょ……!?
マグノアは、ふぅ…と息を吐いた。
『…生き物、というものは、相手が何であろうと争うものだ。……生きている限りな。そして、大切なものがあればこそ…。』
「………」
マグノアは、私を見た。
そして、ふっ…と、笑った。
『信じられないだろうが……実際、起こりうる話だ。』
「そんな……」
『……それより。私に、聞きたいことがあったのではないのか?』
「え?あ……うん。」
私は、マグノアに聞きたいことがあったと、さっき言ったことを思い出した。
でも、何から聞けば良いのか、質問に迷った。
「えっと……あの、そのー……」
『まぁ、だいたいの察しはついてるんだがな。』
マゴマゴする私を見つつ、マグノアはサラッと言う。
…ちょっとムカつく。
「ちょっ…!何よー!それなら最初から…」
『…恐らくだが、「この国のことを王子と話していたら、何だか食い違う…何故?」とかだろう?』
「うっ……」
さ、さすが。鋭い。
だいたい合ってる。