【完】ダンデライオン
「ねぇ、マグノアは国王を殺したりしてないよね?」
『当たり前だ。…あんな優しい方を殺すやつがどこにいると言うんだ…』
やっぱり、マグノアは国王の死には関係ないんだ。
じゃあ……
「じゃあ……何でその時にマグノアは、自分は関係ないってアピールとかしなかったの?アピールだけでもしてたら、何か変わってたかもしれないじゃん」
『会話できないのにアピールって何だ……何すれば良いんだ?』
確かに私が言い出したことだけど、どうアピールしたら良いのかとか言われると困る。
とりあえず思いついたことを言ってみる。
「ええっと……目で訴えるとか?」
『…ほう、目…か。』
マグノアは歩いていた足を止め、私の方に体を向けた。
そして、ジッと真剣に私を見てきた。
『……私の目を見ろ。』
そう言われて、マグノアの目をジッと見つめる。
グレーの毛並みに合わせて、瞳もグレーっぽい色だった。
瞳は結構大きくて、犬っぽい。
犬の祖先という説があるだけあって、やっぱ似てるな…。
『私が言いたいこと、目を見て伝わったか?』
「は?」
そういうことか!!
違うこと考えてたからか、何も分かんなかった!!
ど、どうしよう!?
『目を見ても、分からないだろう…?』
「うぅ……すみません。」
『…ふ、……ははは!』
マグノアは、声を出して笑いだした。
なんかクールなイメージがあったから、意外だ…。ビックリした。
『結局のところ…そういうものなんだ。それに、これで良かったと…私は思っている。』
マグノアはそう言うと、また前を向き直し歩き出した。