夢への道は恋の花道?
7人のお妃候補
マーガレット20才
メリッサ23才
マウル25才
千代21才
エレン22才
ナフィリサ23才
ミアンナ22才
「7人か・・・。じゃ、私は8人目?
日本だと末広がりって8がいい数字にとられることもあるけれど、この国ではどうなのかしらね。」
お妃候補の名前と年齢だけ書かれたリストが早朝、柏木が差出人として部屋に届いていた。
メイドのカエの話では、いずれもお嬢様であったり、どの道かの達人だったりするのだと教えてもらった。
もしかして、庶民代表なのは自分だけではないのか?と不安感はぬぐえなかったが、だからこそ心意気でがんばるしかないのだと自分に言い聞かせた。
朝食後、柏木が迎えにきて、まるで品定めをするようにミチルのドレス姿を眺めている。
「どこか、着方がまずいんでしょうか?」
「いや、ドレスさえ着用なら問題はありません。
ただ・・・ちょっと襟元が気になりまして・・・。」
「襟元?」
「朝に皆様のお顔合わせがありますが、そのドレスの襟はミチル様の場合は大きすぎるようにお見受けいたします。
ドレスよりあなたは小柄だったんですね。
メイドがサイズ間違えをしたのか、サイズの伝達がうまくいってなかったのか・・・。
しかし、もう時間がありませんからとりあえず、首に軽く布を巻くことでごまかしましょう。
これをどうぞ。」
柏木のくれた水色のオーガンジーのスカーフで、見た目エレガントさと初々しさがにじみでて、なんとか顔合わせのパーティーは間に合うこととなった。
柏木はドレスのチェックを終えると、会場のチェックがあるとさっさと先にいってしまった。
その後、柏木の対処について邸のメイドたちが口々に柏木のウワサを口にする。
「さすが柏木様ですわ。王子様の対外的なお仕事でも実力を発揮なさっておられるのに、執事としても細事においてとても気の付くお方だときいていましたけど・・・実際に目の当りにしましたら感動いたしました。」
「そうですね~。あのようなスカーフはどこで用意なさったのかしら?」
「私がきいたお話では、昨日のうちにお妃候補様がお使いになられる小物などの入念なチェックをされていたとききましたわ。」
「なんてお仕事に忠実な方なのでしょう。
ミチル様以外のお妃候補の皆さまについていらっしゃる執事を束ねておられるのも柏木様なのですよね。
ミチル様は執事運がとてもいいのですわ。」
「カエはミチル様の担当だし、柏木様との接触が多くてうらやましいわ。」
「ええ、ミチル様はさっぱりしたお方ですし、柏木様はほんとにステキでいらっしゃいますし、私も幸運です。ハイ!」
もちろん、このような話は柏木自身の耳には直接入っていないことなのだが、ミチルはメイドたちの話に逆に興味を持った。
「柏木さんってあらためてすごい人なんだぁ・・・。
メイドさんたちって私とあまり変わらないような気がするし、お妃候補には応募しなかったのかしら?」
ミチルがうっかりそう口にしたことに対して、通りかかった青年がすぐに返答を口にした。
「応募はサッカー場5杯分以上になるほどの書類があったけれど、審査側が8名までやっと減らすことができたのさ。
メイドは職業だから就職試験を受けて採用されているだけ。
お妃はただの職業ではない。
王室の人間として生きるだけでも尊いものでなくてはならない存在。
根本的にベツモノなのさ。」
「きゃっ!だ、誰?」
ミチルは予想もしないところから答えをもらって驚きの声をあげた。
「あははは。真剣に質問してくれるから真剣に答えねばいけないかなって思ったんだけどな。
僕は、ジュイム・ロニ・ナブミリアス。
イディアムの弟だよ。」
「ってことは・・・お、お・・王子様なの!!!」