夢への道は恋の花道?
すぐに柏木が返事をしてくれると思ってミチルが投げかけた言葉だったが、柏木はしばらく黙ったままだった。

そして、しばらくして車のエンジンをかけてから口を開いた。

「今はテレビの中にいるイディアム王子が、半年後にはあなたの隣にいるはずです。
少なくとも私はそうなっていただかないと困ります。」


「柏木さんはとても自信家なんですねぇ・・・。
私はお妃候補の応募も自分でしたんじゃないんですよ。

妹が勝手に書類を送って、知らない間に私がここへ来る筋書ができあがっちゃってました。
それに抗うこともせず、いい加減な私・・・。」


「わかっています。」


「えっ?」



「書類の文字はあなたのものではなかった。
でも、応募基準はクリアしている女性であることは、私が保証できることになりましたがね。」


「ええっ!それってキスのこと?
そういうことだったの。

ウソつきが応募基準を満たしていれば、数は合いますもんね。
もういいです。ここまできてしまったのですから、もう・・・。」


「明日からの予定表です。
学校でいうところの時間割のようなものがこの封筒に入っています。

明日は、料理、裁縫、教養など一通りのあなたの実力を拝見させていただきます。
もちろん、ぜんぜんできなくてもはずかしくはありません。
コックやメイドを扱えばいいだけのことです。

ただ、イディアム王子は他人まかせをするのを嫌う人でしてね。
あとはご自分でご想像ください。

では、着きましたのでこのへんで。明日またお迎えさせていただきます。」


「あ、ありがとうございました。柏木さん・・・。」


「あの!1つご注意といいますか、要望なんですが」


「はい、何でしょうか?」


「名字にさんをつけて呼ばないでください。
王子より私が偉くなってしまいます。

私のことはキョウと呼び捨てでお呼びください。」


「で、でも・・・執事さんの中でとか、会社でとか一番偉い方なのでしょう?それにずっと目上の方なのでしょうし。」


「ずっと・・・ではありません。
肩書きについては面倒な部分はありますが、私はあなたの執事を仰せつかった身なのです。

だから私が75歳のおじいさんでも呼び捨てしていただかないと。
柏木って呼ばれるのは王子がひいてしまいますので、王子の呼び方にあわせてキョウと・・・。」


「はい。・・・じゃ明日よろしくお願いします。・・キョ、キョウ。」


「かしこまりました。では、お休みなさいませ。」



(柏木さんっていくつなんだろう?ずっと目上じゃないって・・・。
王子よりは上っぽいよね。

それに、首つかまれて床にねじ伏せられたとき・・・とても怖かった。
2度としないって言ったけれど・・・やっぱり注意受けたりするときって怖いよ。

ジュイム王子もときどき言い寄ってきたりして、正直どうしていいか困って怖かった。
ああ~~~根本的に男性に免疫がないんだわ。
ないままお妃だなんて・・・。)
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