夢への道は恋の花道?
翌朝、午前6時過ぎのこと。
お妃候補の住まいになっている建物であるオジュロール3階で女性の怒鳴り声とガラスが割れる音が響いた。
ミチルの部屋は2階で真上に近いところから聞こえたのでびっくりして玄関へ走った。
しかし、怒号といろんな物音に、これは普通の状況じゃないと思ったミチルはすぐに柏木の携帯に連絡した。
「あ、今そちらへ向かおうとしていたところです。
くれぐれもドアを開けないように!
建物内部で起っていることについては、オジュロール担当の管理人とメイドで対処しているとのことです。」
「わかりました。柏木さんが来てくれるまで部屋にいます。」
玄関前に座り込んだミチルは少しホッとしたが、電話を食卓の上に置いた途端に、ドアをドンドンたたく音がして、抑えたような声で
「お願い、ここを開けて!私を助けて!」と声がした。
そっとドアの覗き穴から外を見ると、タンクトップにパンツ姿のアメリカ人っぽい女性が涙目でドアをたたいていた。
「お願い、かくまって!私の執事がやられちゃったの。
少しだけでいいの、助けて。電話を貸して!お願いよ。」
ミチルは女性の他に誰もいないことを確認して、さっと女を部屋に入れ、すぐさま再び鍵をかけた。
「こんな朝っぱらからどうしたの?あなたもお妃候補なんでしょう?」
ミチルが泣いている女性に質問すると、泣きじゃくりながら話し始めた。
「私はエレン。アメリカの大学を卒業してここへ来たの。
昨日、お目見えのパーティーで挨拶をして、ここの3階にもどってきたんだけど、夜中のうちに・・・ストーカーが敷地に隠れていたみたいなの。」
「ストーカーって・・・この国の?」
「ううん、違うわ。ここはアメリカじゃないしこの敷地は王家のものだから安心していたの。
でも、アメリカからここまでつけてきていたのよ。
私ね、大学卒業する前くらいからモデルをしていたの。
それで多くはないけれど、テレビや雑誌にも出ていたんだけど、最近、自宅にストーカーが来るようになって・・・両親や近所の人といっしょに困っていたの。
そんなときにお妃候補の募集があって、母がここへ行きなさいって応募してくれたの。なのに・・・ここまで来るなんて。信じられない。」
「それで、ストーカーってひとりなの?さっきの音は何だったの?」
「2人だったのよ。共犯がいるってさっきわかったの。
いつもコソコソやってきていた人を突き倒して走って階段を下りてきたんだけど、もうひとりが反対側から走ってきて、捕まえられそうになったところを執事のキアフが立ちはだかったんだけど、共犯者は格闘術ができるみたいでキアフは血だらけになりながら私に逃げるように言って・・・。
もしかしたらキアフは死んじゃったかもしれないの。
どうしよう。私はどうしたら・・・。ああ~~~!」
「エレン、落ち着いて。
さっき、私の執事に電話したから、きっと対処してくれるわ。
ここは本来、男子禁制だけど、非常事態なんだから警察や軍隊くらいやってくるわよ。」
「で、でもこんな問題起こしたんだもの・・・私はもう帰らされてしまうかもしれないわ。
嫌よ。私・・・昨日、イディアム様に声をかけていただいて、この方ならって真剣に頑張る決心をしたのよ。
帰りたくない・・・。こんなことで帰るなんて嫌!」
「私はミチル。昨日じつは朝陽が映る海を見過ぎて遅刻しちゃった候補なのよ。
ものすごく怒られたけれど、帰されていないわ。
騒ぎを起こしたのは事実でも、悪いのはあなたじゃないでしょ。」
「しばらくここにいてもいい?ミチル。」
「ええ。誰か来てくれるまでがんばりましょう」
2人が抱き合いながら玄関近くにいると、ミチルのドアを何者かがコンコンとたたいた。
そっとミチルが覗いてみると、見ず知らずの男がこちらをうかがっている。
しかも、腕に血がベッタリとついていた。
(こいつが執事さんを倒した共犯者ね・・・。しばらく寝たフリか、かかわりたくない意思で知らん顔にしておこう。)
お妃候補の住まいになっている建物であるオジュロール3階で女性の怒鳴り声とガラスが割れる音が響いた。
ミチルの部屋は2階で真上に近いところから聞こえたのでびっくりして玄関へ走った。
しかし、怒号といろんな物音に、これは普通の状況じゃないと思ったミチルはすぐに柏木の携帯に連絡した。
「あ、今そちらへ向かおうとしていたところです。
くれぐれもドアを開けないように!
建物内部で起っていることについては、オジュロール担当の管理人とメイドで対処しているとのことです。」
「わかりました。柏木さんが来てくれるまで部屋にいます。」
玄関前に座り込んだミチルは少しホッとしたが、電話を食卓の上に置いた途端に、ドアをドンドンたたく音がして、抑えたような声で
「お願い、ここを開けて!私を助けて!」と声がした。
そっとドアの覗き穴から外を見ると、タンクトップにパンツ姿のアメリカ人っぽい女性が涙目でドアをたたいていた。
「お願い、かくまって!私の執事がやられちゃったの。
少しだけでいいの、助けて。電話を貸して!お願いよ。」
ミチルは女性の他に誰もいないことを確認して、さっと女を部屋に入れ、すぐさま再び鍵をかけた。
「こんな朝っぱらからどうしたの?あなたもお妃候補なんでしょう?」
ミチルが泣いている女性に質問すると、泣きじゃくりながら話し始めた。
「私はエレン。アメリカの大学を卒業してここへ来たの。
昨日、お目見えのパーティーで挨拶をして、ここの3階にもどってきたんだけど、夜中のうちに・・・ストーカーが敷地に隠れていたみたいなの。」
「ストーカーって・・・この国の?」
「ううん、違うわ。ここはアメリカじゃないしこの敷地は王家のものだから安心していたの。
でも、アメリカからここまでつけてきていたのよ。
私ね、大学卒業する前くらいからモデルをしていたの。
それで多くはないけれど、テレビや雑誌にも出ていたんだけど、最近、自宅にストーカーが来るようになって・・・両親や近所の人といっしょに困っていたの。
そんなときにお妃候補の募集があって、母がここへ行きなさいって応募してくれたの。なのに・・・ここまで来るなんて。信じられない。」
「それで、ストーカーってひとりなの?さっきの音は何だったの?」
「2人だったのよ。共犯がいるってさっきわかったの。
いつもコソコソやってきていた人を突き倒して走って階段を下りてきたんだけど、もうひとりが反対側から走ってきて、捕まえられそうになったところを執事のキアフが立ちはだかったんだけど、共犯者は格闘術ができるみたいでキアフは血だらけになりながら私に逃げるように言って・・・。
もしかしたらキアフは死んじゃったかもしれないの。
どうしよう。私はどうしたら・・・。ああ~~~!」
「エレン、落ち着いて。
さっき、私の執事に電話したから、きっと対処してくれるわ。
ここは本来、男子禁制だけど、非常事態なんだから警察や軍隊くらいやってくるわよ。」
「で、でもこんな問題起こしたんだもの・・・私はもう帰らされてしまうかもしれないわ。
嫌よ。私・・・昨日、イディアム様に声をかけていただいて、この方ならって真剣に頑張る決心をしたのよ。
帰りたくない・・・。こんなことで帰るなんて嫌!」
「私はミチル。昨日じつは朝陽が映る海を見過ぎて遅刻しちゃった候補なのよ。
ものすごく怒られたけれど、帰されていないわ。
騒ぎを起こしたのは事実でも、悪いのはあなたじゃないでしょ。」
「しばらくここにいてもいい?ミチル。」
「ええ。誰か来てくれるまでがんばりましょう」
2人が抱き合いながら玄関近くにいると、ミチルのドアを何者かがコンコンとたたいた。
そっとミチルが覗いてみると、見ず知らずの男がこちらをうかがっている。
しかも、腕に血がベッタリとついていた。
(こいつが執事さんを倒した共犯者ね・・・。しばらく寝たフリか、かかわりたくない意思で知らん顔にしておこう。)