夢への道は恋の花道?
翌朝、ミチルは気まずいこともあって、遅い時間に朝食をとった。
もしも、柏木と会って口論にでもなってしまったら、メラローナたちに心配をかけると思ったからだった。
しかし、柏木は何も言わずに給仕だけすませると、そっぽを向くように他の仕事へと行ってしまった。
「そうよね。王子からクビのような宣告を受けちゃったら、もう私になんて用はないってことよね。
とにかく、新しい先生にしっかりと習わなくちゃ!」
テニスの練習のために邸を出ると、柏木よりは背が低いものの、黒い髪に藍色の瞳が輝く美青年が立っていた。
「初心者ミチル・・・。行くぞ。」
「は、はい。よろしくお願いいたします。」
(な、なんなの?なんか無愛想な人だなぁ。
もしかして・・・柏木さんよりもっと鬼だったりして。やだぁ!)
テニスコートに着くと青年は簡単な自己紹介をした。
「俺はクイン・リーナスだ。じゃ、後ろからずっとついて来い。
ランニングに出かける。」
「ええっ・・・コートまで走ってきたのに、またですか?」
「足腰を鍛えておけば、何のスポーツでも困らないだろ。
行くぞ。」
「は、はいっ!(やっぱりスパルタは変わらないんだぁ。)」
しかし、走ってもどってきてから、クインはいきなり試合することはせず、徹底的にフォームにこだわってミチルの体に触れ、矯正していく。
「打つ時に右肩が極端に下がるのはよくない。
打ちだすときは足から自然に前に出て。
手だけで打とうとしないことだ。」
「そろそろ実際に打たなくてもいいんですか?」
「フォームがメチャクチャなやつに我流でやらせてもうまくならないさ。
基本はきちんとしておかなくてはな。」
言葉が少な目なクインだったが、必要事項は的確にミチルに伝え、ミチルもその通り素直に練習すると、不思議なことに球をほどんど打たなかったのに
練習時間の終わりごろには簡単なラリーができるようになっていた。
もちろんクインが手加減しまくっていることくらいミチルにはわかっていたが、それもとても打ちやすい球が飛んでくることに驚いた。
そして、ミチルはろくろくクインに話もできないまま練習は終わった。
(お話はほとんどしていないのに、すごく上達したみたい・・・)
その後ミチルはもっとびっくりすることになった。
夕飯の給仕にクインが執事姿で食事室に立っていたからだった。
「あなたも執事だったの?」
「いいや、俺はイディアム王子に頼まれただけだ。
テニスのコーチをすることと、気に入ったら残っていいとね。」
「気に入ったらって?」
「へたっぴいだけどおまえを気に入った。
だから世話係もしてやる。
なんだったら夜の相手もしてやってもいいぞ。」
「な、なんなの!イディアム王子の紹介だからって態度が大きいじゃないですか。」
「悪いな、もともと態度はでかいのが俺だから。
おまえは、正直で真面目でちょっとおっちょこちょいだな。
ほいよ、お茶いれた。」
「あなたね~そんないい加減な・・・あれ?お茶がおいしい。」
「俺がいれたお茶はうまいだろ?
疲労がとれるお茶だからな。」
「クイン・・・。」
ちょっと無愛想だけれど、藍色の瞳がミチルの心をとらえたのを、ミチルにわからない場所から様子をうかがっていた柏木は感じ取っていた。
(あいつ・・・危険だ。
正式に執事として登録されていないし、素性が不明なところが多い。)
もしも、柏木と会って口論にでもなってしまったら、メラローナたちに心配をかけると思ったからだった。
しかし、柏木は何も言わずに給仕だけすませると、そっぽを向くように他の仕事へと行ってしまった。
「そうよね。王子からクビのような宣告を受けちゃったら、もう私になんて用はないってことよね。
とにかく、新しい先生にしっかりと習わなくちゃ!」
テニスの練習のために邸を出ると、柏木よりは背が低いものの、黒い髪に藍色の瞳が輝く美青年が立っていた。
「初心者ミチル・・・。行くぞ。」
「は、はい。よろしくお願いいたします。」
(な、なんなの?なんか無愛想な人だなぁ。
もしかして・・・柏木さんよりもっと鬼だったりして。やだぁ!)
テニスコートに着くと青年は簡単な自己紹介をした。
「俺はクイン・リーナスだ。じゃ、後ろからずっとついて来い。
ランニングに出かける。」
「ええっ・・・コートまで走ってきたのに、またですか?」
「足腰を鍛えておけば、何のスポーツでも困らないだろ。
行くぞ。」
「は、はいっ!(やっぱりスパルタは変わらないんだぁ。)」
しかし、走ってもどってきてから、クインはいきなり試合することはせず、徹底的にフォームにこだわってミチルの体に触れ、矯正していく。
「打つ時に右肩が極端に下がるのはよくない。
打ちだすときは足から自然に前に出て。
手だけで打とうとしないことだ。」
「そろそろ実際に打たなくてもいいんですか?」
「フォームがメチャクチャなやつに我流でやらせてもうまくならないさ。
基本はきちんとしておかなくてはな。」
言葉が少な目なクインだったが、必要事項は的確にミチルに伝え、ミチルもその通り素直に練習すると、不思議なことに球をほどんど打たなかったのに
練習時間の終わりごろには簡単なラリーができるようになっていた。
もちろんクインが手加減しまくっていることくらいミチルにはわかっていたが、それもとても打ちやすい球が飛んでくることに驚いた。
そして、ミチルはろくろくクインに話もできないまま練習は終わった。
(お話はほとんどしていないのに、すごく上達したみたい・・・)
その後ミチルはもっとびっくりすることになった。
夕飯の給仕にクインが執事姿で食事室に立っていたからだった。
「あなたも執事だったの?」
「いいや、俺はイディアム王子に頼まれただけだ。
テニスのコーチをすることと、気に入ったら残っていいとね。」
「気に入ったらって?」
「へたっぴいだけどおまえを気に入った。
だから世話係もしてやる。
なんだったら夜の相手もしてやってもいいぞ。」
「な、なんなの!イディアム王子の紹介だからって態度が大きいじゃないですか。」
「悪いな、もともと態度はでかいのが俺だから。
おまえは、正直で真面目でちょっとおっちょこちょいだな。
ほいよ、お茶いれた。」
「あなたね~そんないい加減な・・・あれ?お茶がおいしい。」
「俺がいれたお茶はうまいだろ?
疲労がとれるお茶だからな。」
「クイン・・・。」
ちょっと無愛想だけれど、藍色の瞳がミチルの心をとらえたのを、ミチルにわからない場所から様子をうかがっていた柏木は感じ取っていた。
(あいつ・・・危険だ。
正式に執事として登録されていないし、素性が不明なところが多い。)