夢への道は恋の花道?
執事の失踪
ナフィリサの葬儀がひっそりと行なわれ、イディアム他王室の兄弟たちもお忍びでの出席をしていた。
そんな静けさも2日後には、今度は三男ジュイムのでき婚スクープでマスコミは大騒ぎとなった。
イディアムのお妃候補を妊娠させてしまったという、管理の徹底のなさを指摘され、それは使用人管理をしていた柏木の責任も追及されることとなった。
国王が入院中であるため、イディアムと王家の親類縁者が中心となって企画されたお妃選びであったがジュイムのことや、ナフィリサの死までどんどん掘り起こした挙句に、お妃候補のミチルが使用人管理と国王の許可証を持った柏木と隠れて関係を持っていた。とまでたたかれ始めた。
「関係なんか・・・持ってないのに。
そういうんじゃないのに・・・。
イディアム様は残りのお妃候補からちゃんとお妃を選んでこれから発表しようとしておられるのに・・・。どうしてこんな破廉恥な記事ばかりが出るの?」
「そうよ、キョウはミチルのことをとても気に入っているのは知っているけれど、自分の職務を乱用して関係をせまったりはしていないわ。
抗議してやりましょうよ。あなた。」
「メラ、それはたぶん逆効果になる。
僕たちがその声をあげたら、僕たちが兄のお妃選びをつぶしにかかってると思われてしまうだろう。
兄弟いがみあい、力関係で勝つためには・・・とか余計な見出しが増えるばかりだ。」
「じゃあ、どうすればいいのよ。」
「すみません・・・私はもうなんと書かれてもかまいません。
日本へ帰るだけですし、イディアム様はもう実家の方にお金を振り込んでくださいました。
父に電話してみましたが、これで家族みんなで普通にやっていけそうですからもういいんです。」
「でも、キョウとはどうするの?
夕方見かけたときなんか、キョウはいつものいたずらっぽい笑顔どころか、今にも死んでしまいそうな青い顔をしていたわ。」
「私たちはお妃候補と担当執事だった。それだけです。
キョウはここでとても必要な人です。
私は初めから半年足らずで国へ帰る、出来損ないのお妃候補ってことで、帰国します。
メラルーナ様、悲しまないでください。
着いたら、メールも送りますし、元気になった私の写真なんかもお送りしますから。ねっ。」
ミチルはギリアム夫妻にお礼やおわびを言うと、部屋にもどって帰国の荷造りを始めた。
しかし・・・執事であるキョウは姿を現さない。
「そうよね、裏の責任者である人が、自由に動けるわけなんてないわよ。
だけど、悔しい。
柏木さんがくれたキスは嘘じゃないって思ったのに。
王子に土下座して好きだからって言ってくれたんじゃなかったのかな。」
ピルルルル・・・♪
「メール?・・・か、柏木さん!」
『窓を全開にしてください。すぐに飛んでいきますから。』
「窓???あれ・・・!どこに柏木さんがいるのかしら?」
メールで言われたとおり、ミチルが部屋の窓を大きく開けると
スッ・・・ササッ・・・ガン!
「うそぉ!!!か、柏木さん?そんな泥棒みたいなことして、誰かに見つかったらどうするんですか?」
「でも、あなたは開けてくれたでしょう?
明日、あなたが帰国するってきいたのです。
イディアム王子はミアンナ嬢と結婚をお決めになって、私にも新郎としてミチルを迎えにいくように言われました。」
「な、なんですって!」
「怒らないでください。
今、それができないことは、よくわかっています。
でも、これだけは信じてほしい。
私は最初の面接であなたを気に入ってしまいました。
毎日のたわいのない会話。怒ったあなたの顔。
どれもとてもうれしくて楽しくて、できることならずっとそばに居たい。
明日はいったんお別れですが、必ず会いに行きますから。
あなたのお気持ちがどうであれ、私は・・・
私はあなたを愛しています。
それだけどうしてもお伝えしたくて・・・。」
「危ないマネして・・・バカなんだから。
私は気が短いんですからねっ、そんなに長くは待たないわよ!」
「はい。近いうちに・・・。」
柏木はそういいながら、ミチルを抱きしめた。
抱きしめた腕にどんどん力が入っていく。
「すみません、痛いですか。
これは私の心の痛みです。
どんな私であっても・・・いえ、もういいです。
あなたに幸せになってほしいから。」
「ちょ、ちょっと・・・それどういうこと?
愛してるって言っておいて、そんな別れの言葉みたいなこと言うの?
ねぇ、キョウ・・・。キョウ!!!」
ミチルが目を開けたときには、キョウの姿は消えていた。
まだ、ミチルの体には抱きしめられたときの痛みは残っているというのに。
そんな静けさも2日後には、今度は三男ジュイムのでき婚スクープでマスコミは大騒ぎとなった。
イディアムのお妃候補を妊娠させてしまったという、管理の徹底のなさを指摘され、それは使用人管理をしていた柏木の責任も追及されることとなった。
国王が入院中であるため、イディアムと王家の親類縁者が中心となって企画されたお妃選びであったがジュイムのことや、ナフィリサの死までどんどん掘り起こした挙句に、お妃候補のミチルが使用人管理と国王の許可証を持った柏木と隠れて関係を持っていた。とまでたたかれ始めた。
「関係なんか・・・持ってないのに。
そういうんじゃないのに・・・。
イディアム様は残りのお妃候補からちゃんとお妃を選んでこれから発表しようとしておられるのに・・・。どうしてこんな破廉恥な記事ばかりが出るの?」
「そうよ、キョウはミチルのことをとても気に入っているのは知っているけれど、自分の職務を乱用して関係をせまったりはしていないわ。
抗議してやりましょうよ。あなた。」
「メラ、それはたぶん逆効果になる。
僕たちがその声をあげたら、僕たちが兄のお妃選びをつぶしにかかってると思われてしまうだろう。
兄弟いがみあい、力関係で勝つためには・・・とか余計な見出しが増えるばかりだ。」
「じゃあ、どうすればいいのよ。」
「すみません・・・私はもうなんと書かれてもかまいません。
日本へ帰るだけですし、イディアム様はもう実家の方にお金を振り込んでくださいました。
父に電話してみましたが、これで家族みんなで普通にやっていけそうですからもういいんです。」
「でも、キョウとはどうするの?
夕方見かけたときなんか、キョウはいつものいたずらっぽい笑顔どころか、今にも死んでしまいそうな青い顔をしていたわ。」
「私たちはお妃候補と担当執事だった。それだけです。
キョウはここでとても必要な人です。
私は初めから半年足らずで国へ帰る、出来損ないのお妃候補ってことで、帰国します。
メラルーナ様、悲しまないでください。
着いたら、メールも送りますし、元気になった私の写真なんかもお送りしますから。ねっ。」
ミチルはギリアム夫妻にお礼やおわびを言うと、部屋にもどって帰国の荷造りを始めた。
しかし・・・執事であるキョウは姿を現さない。
「そうよね、裏の責任者である人が、自由に動けるわけなんてないわよ。
だけど、悔しい。
柏木さんがくれたキスは嘘じゃないって思ったのに。
王子に土下座して好きだからって言ってくれたんじゃなかったのかな。」
ピルルルル・・・♪
「メール?・・・か、柏木さん!」
『窓を全開にしてください。すぐに飛んでいきますから。』
「窓???あれ・・・!どこに柏木さんがいるのかしら?」
メールで言われたとおり、ミチルが部屋の窓を大きく開けると
スッ・・・ササッ・・・ガン!
「うそぉ!!!か、柏木さん?そんな泥棒みたいなことして、誰かに見つかったらどうするんですか?」
「でも、あなたは開けてくれたでしょう?
明日、あなたが帰国するってきいたのです。
イディアム王子はミアンナ嬢と結婚をお決めになって、私にも新郎としてミチルを迎えにいくように言われました。」
「な、なんですって!」
「怒らないでください。
今、それができないことは、よくわかっています。
でも、これだけは信じてほしい。
私は最初の面接であなたを気に入ってしまいました。
毎日のたわいのない会話。怒ったあなたの顔。
どれもとてもうれしくて楽しくて、できることならずっとそばに居たい。
明日はいったんお別れですが、必ず会いに行きますから。
あなたのお気持ちがどうであれ、私は・・・
私はあなたを愛しています。
それだけどうしてもお伝えしたくて・・・。」
「危ないマネして・・・バカなんだから。
私は気が短いんですからねっ、そんなに長くは待たないわよ!」
「はい。近いうちに・・・。」
柏木はそういいながら、ミチルを抱きしめた。
抱きしめた腕にどんどん力が入っていく。
「すみません、痛いですか。
これは私の心の痛みです。
どんな私であっても・・・いえ、もういいです。
あなたに幸せになってほしいから。」
「ちょ、ちょっと・・・それどういうこと?
愛してるって言っておいて、そんな別れの言葉みたいなこと言うの?
ねぇ、キョウ・・・。キョウ!!!」
ミチルが目を開けたときには、キョウの姿は消えていた。
まだ、ミチルの体には抱きしめられたときの痛みは残っているというのに。