夢への道は恋の花道?
涙の理由
目覚めたら・・・自宅のベッドの上。
ミチルは天井を眺めながら、妙な夢を見たと思った。
すると、携帯電話が鳴り、電話に出るとクランからだった。
「昨日ちゃんと送って行くつもりだったのにどうしてひとりで勝手に帰ったんだよ。」
「ごめん・・・さっき目が覚めたら自宅の天井が見えた。」
「おいおい、どうやって帰ったか覚えてないのか?」
「うん、ごめんね。すごく酔ってしまってて、すご~く帰りたくなっちゃったみたいなの。
ほんとにごめん・・・。」
「いや、無事ならいいんだよ。
俺はおまえの妹や他のモデルたちと真面目に仕事やってるから、何かあったら電話してくれよ。
それと、あいつのことは1日も早く忘れるんだ。いいね。」
「う、うん。ありがと。」
夢の中できいたような柏木の心ない言葉・・・。
『家の前で捨ててあげます。それでさようならです。』
(捨てられたのよね・・・私は捨てられた。それでも・・・)
胸が痛かったけれど、ミチルは明るい家族やがんばっている妹の姿を見て、自分を奮い立たせなければと思い、気分転換と自分のこれからを考えるため、卒業した大学へと足を向けた。
(原点にもどってみよう。私がやりたかったこと。
やりたいことをやらなきゃ!)
以前、ゼミの担当だった教授に面会してテラスティン王国でのことや妹がモデルとしてがんばっていることなどを話し、助手として残って勉強する話をきりだしてみた。
教授はある専門学校を紹介してくれた。
助手として大学にいるよりも、華やかさや実戦経験を学べる場だと説明してくれた。
諸外国にもとても精通しているスタッフがたくさんいて、ミチルにはそちらの方が向いているのではないかというのである。
早速、外からでもいいので学校の雰囲気をみておこうとミチルは教授からもらった地図を手に足を運んだ。
「KKエンタープライズ 服飾専門学校って・・・ここみたいね。
うわぁ・・・生徒さんたちもおしゃれ。
ガラス張りだから、外からでも見えるわ。」
「ここは見学用のスタジオだから見せるようにできているのよ。
お洋服に興味ありそうな人ね。」
「あ、あの・・・すみません。私・・・私もあんな服が作ってみたいなって思っていたので、長沢教授にここの地図をいただいて・・・ってあの、あなたはこちらのスタッフさんですよね。」
「ええ。ここで事務長と講師をやっていますよ。
外出からもどったら、あなたが熱心に見ていらしたのでね。
この時期に見学っていうのもめずらしいしね。」
「あ、そ、そうですよね。
学校は卒業したんですけど、ちょっと事情があってテラスティンまで行かされて・・・。あ、すみません個人的事情なんて関係な・・・」
「テラスティン王国?・・・もしかしてあなた・・・お妃候補だった人?」
「な、なぜそれをご存じなんですか?」
「あの国の工場からたくさんの布地を輸入しているのよ。
もともとあの国はね、繊維工業がすごく盛んで国王様がお妃様に喜んでもらえるドレスを作るためにどんどん発展したのよ。
ただ、最近はかなりの工場がつぶれてしまっていて、テラスティン特有の綿花などの畑も放置状態なの。」
「そ、そんな。でも、建物とか最先端の技術なんかもあって先進国なんじゃ・・・?」
「そんな話知らないわ。あそこは国王が若い頃まで農耕民族の地味な国だった。
そこを王様が綿花に目をつけて、紡績工場を作ったのが始まりよ。
とても歴史が浅いのよ。
お妃様が決まって、夫婦仲はとくによくはなかったらしいけど、王様はなんとか夫婦の仲を修復しようと、高級なドレスをどんどん発注されておられてね。
それに関連して、あの国からと諸外国からも若いデザイナーたちがどんどん発掘されてきたって感じで、ファッション業界はにぎやかに発展したのよ。」
「そうだったんですか・・・。最近まで住んでいたのにぜんぜん気付かなかった・・・。」
「お妃候補の人だったなら、面接大歓迎よ。
えっと、今日は理事長と役員がお休みなので来週の月曜に来てもらいたいんだけどいいかしら?」
「えっ・・・私、ここに入学させてもらえそうなんですか?」
「ここは会社じゃないのよ。学校なんだからあなたは生徒様でお客様よ~
そのかわり、入学したらビシビシしごくかもだけど・・・うふふ。」
「うわっ、はい。ぜひ、よろしくお願いします!」
ミチルは天井を眺めながら、妙な夢を見たと思った。
すると、携帯電話が鳴り、電話に出るとクランからだった。
「昨日ちゃんと送って行くつもりだったのにどうしてひとりで勝手に帰ったんだよ。」
「ごめん・・・さっき目が覚めたら自宅の天井が見えた。」
「おいおい、どうやって帰ったか覚えてないのか?」
「うん、ごめんね。すごく酔ってしまってて、すご~く帰りたくなっちゃったみたいなの。
ほんとにごめん・・・。」
「いや、無事ならいいんだよ。
俺はおまえの妹や他のモデルたちと真面目に仕事やってるから、何かあったら電話してくれよ。
それと、あいつのことは1日も早く忘れるんだ。いいね。」
「う、うん。ありがと。」
夢の中できいたような柏木の心ない言葉・・・。
『家の前で捨ててあげます。それでさようならです。』
(捨てられたのよね・・・私は捨てられた。それでも・・・)
胸が痛かったけれど、ミチルは明るい家族やがんばっている妹の姿を見て、自分を奮い立たせなければと思い、気分転換と自分のこれからを考えるため、卒業した大学へと足を向けた。
(原点にもどってみよう。私がやりたかったこと。
やりたいことをやらなきゃ!)
以前、ゼミの担当だった教授に面会してテラスティン王国でのことや妹がモデルとしてがんばっていることなどを話し、助手として残って勉強する話をきりだしてみた。
教授はある専門学校を紹介してくれた。
助手として大学にいるよりも、華やかさや実戦経験を学べる場だと説明してくれた。
諸外国にもとても精通しているスタッフがたくさんいて、ミチルにはそちらの方が向いているのではないかというのである。
早速、外からでもいいので学校の雰囲気をみておこうとミチルは教授からもらった地図を手に足を運んだ。
「KKエンタープライズ 服飾専門学校って・・・ここみたいね。
うわぁ・・・生徒さんたちもおしゃれ。
ガラス張りだから、外からでも見えるわ。」
「ここは見学用のスタジオだから見せるようにできているのよ。
お洋服に興味ありそうな人ね。」
「あ、あの・・・すみません。私・・・私もあんな服が作ってみたいなって思っていたので、長沢教授にここの地図をいただいて・・・ってあの、あなたはこちらのスタッフさんですよね。」
「ええ。ここで事務長と講師をやっていますよ。
外出からもどったら、あなたが熱心に見ていらしたのでね。
この時期に見学っていうのもめずらしいしね。」
「あ、そ、そうですよね。
学校は卒業したんですけど、ちょっと事情があってテラスティンまで行かされて・・・。あ、すみません個人的事情なんて関係な・・・」
「テラスティン王国?・・・もしかしてあなた・・・お妃候補だった人?」
「な、なぜそれをご存じなんですか?」
「あの国の工場からたくさんの布地を輸入しているのよ。
もともとあの国はね、繊維工業がすごく盛んで国王様がお妃様に喜んでもらえるドレスを作るためにどんどん発展したのよ。
ただ、最近はかなりの工場がつぶれてしまっていて、テラスティン特有の綿花などの畑も放置状態なの。」
「そ、そんな。でも、建物とか最先端の技術なんかもあって先進国なんじゃ・・・?」
「そんな話知らないわ。あそこは国王が若い頃まで農耕民族の地味な国だった。
そこを王様が綿花に目をつけて、紡績工場を作ったのが始まりよ。
とても歴史が浅いのよ。
お妃様が決まって、夫婦仲はとくによくはなかったらしいけど、王様はなんとか夫婦の仲を修復しようと、高級なドレスをどんどん発注されておられてね。
それに関連して、あの国からと諸外国からも若いデザイナーたちがどんどん発掘されてきたって感じで、ファッション業界はにぎやかに発展したのよ。」
「そうだったんですか・・・。最近まで住んでいたのにぜんぜん気付かなかった・・・。」
「お妃候補の人だったなら、面接大歓迎よ。
えっと、今日は理事長と役員がお休みなので来週の月曜に来てもらいたいんだけどいいかしら?」
「えっ・・・私、ここに入学させてもらえそうなんですか?」
「ここは会社じゃないのよ。学校なんだからあなたは生徒様でお客様よ~
そのかわり、入学したらビシビシしごくかもだけど・・・うふふ。」
「うわっ、はい。ぜひ、よろしくお願いします!」