夢への道は恋の花道?
その夜、ミチルは家族に専門学校の話をして上機嫌だった。
両親も妹のミナトもミチルの進路よりも、ミチルの笑顔が見れたとよろこんでくれた。
「お姉ちゃん、帰国してからずっと暗い顔しっぱなしだったし、昨日なんて最悪だったじゃない?
クラン社長おっぽり出して酔っぱらったままひとりで帰ったってきいたときはお姉ちゃんが死んじゃうんじゃないかって心配してたんだから。」
「ごめんね・・・。私・・・お金の振込みと同時に捨てられちゃったみたいで。」
「えっ・・・やっぱり執事やってたって男のせい?」
「なんで、あんたそんなこと・・・。クランから聞いたの?」
「だってお姉ちゃん心配だったし、社長も気にしてて・・・。
うちが立ち退きさせられた原因でもあるし、ひどいことしてる男なんでしょう?
そんなのに傷物にされる前に帰ってきてよかったじゃない。」
「う、うん・・・。
うちを救うためのお金振り込んだり、私を命がけで守ってくれたり、どうしてもひっかかることがあるの・・・。」
「お姉ちゃん・・・ものすごくその人が好きだったんだね。
うん、きっとその経験がこれから役に立つってね。
専門学校いって勉強しておいでよ。
お姉ちゃんまだハイミスじゃないんだから、まだまだこれからだって。」
「あんたに言われたくないわよ。
それより、あんたバイトばっかりしてないで、高校をきちんと卒業しなさいよ。」
「私は堅実にお金ためてやりたいことをやるから大丈夫よ~」
「いいわね、目標突破だけを狙える若さって・・・。」
「ああ~ひがんでる。悩むとシワが増えちゃうしね~~~」
「うるさい!もう・・・あっ・・・」
(『あなたはすぐに怒るから困ります。・・・そんなことではこじわが増えてお妃の座も私の主の座からも転がり落ちてしまいますよ。
でも、落ちたら必ず私が拾いにいきますけどね。
拾ってしまったら、もう私からは離れられない・・・なんてね。くくっ』
そんなこと言ってたこともあったわ。)
「どうしたの?」
「ううん・・・何でもない。私学校に通ってがんばるからね。」
「お互いがんばだね!」
自分の部屋でミチルは思い返していた。
さっきの言葉・・・。
(落ちたら拾う・・・捨てたら?
捨てたら拾ってくれるのかしら・・・。)
翌日からミチルは早朝から、家事を率先してやり始めた。
働く意欲がもどったからもあるが、この国での自分の小ささにやっとなじんできたのかもしれないと思ったからだった。
「はぁ、家族全員の洗濯終了っと。
ほんとにこういうの久しぶりだったなぁ。
お母さんだって落ち込んでたお父さんのフォローでしんどかったのよね。
自分だけが悲しいなんてなんで思ってたのかしら。」
すると、ミチルの携帯に見知らぬ番号で電話がかかってきた。
「は、はい。もしもし・・・」
「ミチルかい?大変なことになった・・・柏木響を知らないか?
どうしても彼に連絡がとりたいんだ!」
「ぎ、ギリアム様ですよね。横で声がするのはメラルーナ様ですか?」
「ミチル!王様が、王様が亡くなられたの。そしたら・・・お兄さまが、イディアム王子が・・・貴族や政治家をどんどん追い出して、怖そうな人たちをたくさん住まわせ始めたの。
これってどういうことなのか・・・。もうわけわかんない!」
「メラルーナ様、おちついてください。」
「ごめん、妻が取り乱して。とにかく、国王の側近をしてた彼なら、何か知っていると思うんだ。
このままではこの国は大変なことになる。
僕たちも今は、動かなければなんとか住まいに住まわせてはもらっているが・・・いずれ亡命せねばならなくなるかもしれない。
とにかく、この国の裏事情がどうだったのか知りたいんだ。
柏木はしばらく留守にするような口ぶりで部下に話していたらしいんだけど、君を追って柏木は日本に行ったという情報があってね。」
「私を追って?じゃ、あれは・・・」
「会ったんだね。なんとか彼に連絡をしてくれるように伝えてくれないか。」
「じつは会ったことは会ったんですけど・・・連絡先を教えてもらってなくて・・・。
でも、彼の経営しているという会社に当たってみます。
まさか、イディアム様がそんなことになるなんて・・・私も今混乱しています。
そのカギを柏木さんが握っているんですよね。」
「うん、彼は誰にも話をしていないから、彼が何を考えて何をしてたかを教えてくれる人がいない。
警察当局にきいても知らぬ存ぜぬばかりだ。
僕の勘にすぎないんだけど、とてつもない大きな事件が隠されていて、みんなで隠しているんじゃないかって気がする・・・。
そう思いたい・・・。」
「ギリアム様・・・とにかく、私は柏木さんをあたってみます。
日本にいることはわかっているんだから、できるだけのことをやってみますから・・・早まったことはしないでメラルーナやみんなを守ってあげて。」
「うん、すまないけど頼むよ。
それと・・・柏木に伝えた方がいいかと思って言うんだけど、お妃に選ばれたミアンナが殺された。」
「ええっ!!!」
「イディアムの妃として結婚式の準備もほとんどできてよろこんでいたんだけどね、殺し屋に撃ち殺された。
もし、ミチルがお妃になっていたらと思うと背筋が凍りそうだったよ。
キョウはもしかして・・・君を助けるために・・・なんて思ってさ。
あ、長くなってすまない。これできるからね。じゃ。」
(電話はギリアム邸の電話じゃない・・・。
ぜんぜん知らない番号だから、知り合いの庶民の家からね。)
両親も妹のミナトもミチルの進路よりも、ミチルの笑顔が見れたとよろこんでくれた。
「お姉ちゃん、帰国してからずっと暗い顔しっぱなしだったし、昨日なんて最悪だったじゃない?
クラン社長おっぽり出して酔っぱらったままひとりで帰ったってきいたときはお姉ちゃんが死んじゃうんじゃないかって心配してたんだから。」
「ごめんね・・・。私・・・お金の振込みと同時に捨てられちゃったみたいで。」
「えっ・・・やっぱり執事やってたって男のせい?」
「なんで、あんたそんなこと・・・。クランから聞いたの?」
「だってお姉ちゃん心配だったし、社長も気にしてて・・・。
うちが立ち退きさせられた原因でもあるし、ひどいことしてる男なんでしょう?
そんなのに傷物にされる前に帰ってきてよかったじゃない。」
「う、うん・・・。
うちを救うためのお金振り込んだり、私を命がけで守ってくれたり、どうしてもひっかかることがあるの・・・。」
「お姉ちゃん・・・ものすごくその人が好きだったんだね。
うん、きっとその経験がこれから役に立つってね。
専門学校いって勉強しておいでよ。
お姉ちゃんまだハイミスじゃないんだから、まだまだこれからだって。」
「あんたに言われたくないわよ。
それより、あんたバイトばっかりしてないで、高校をきちんと卒業しなさいよ。」
「私は堅実にお金ためてやりたいことをやるから大丈夫よ~」
「いいわね、目標突破だけを狙える若さって・・・。」
「ああ~ひがんでる。悩むとシワが増えちゃうしね~~~」
「うるさい!もう・・・あっ・・・」
(『あなたはすぐに怒るから困ります。・・・そんなことではこじわが増えてお妃の座も私の主の座からも転がり落ちてしまいますよ。
でも、落ちたら必ず私が拾いにいきますけどね。
拾ってしまったら、もう私からは離れられない・・・なんてね。くくっ』
そんなこと言ってたこともあったわ。)
「どうしたの?」
「ううん・・・何でもない。私学校に通ってがんばるからね。」
「お互いがんばだね!」
自分の部屋でミチルは思い返していた。
さっきの言葉・・・。
(落ちたら拾う・・・捨てたら?
捨てたら拾ってくれるのかしら・・・。)
翌日からミチルは早朝から、家事を率先してやり始めた。
働く意欲がもどったからもあるが、この国での自分の小ささにやっとなじんできたのかもしれないと思ったからだった。
「はぁ、家族全員の洗濯終了っと。
ほんとにこういうの久しぶりだったなぁ。
お母さんだって落ち込んでたお父さんのフォローでしんどかったのよね。
自分だけが悲しいなんてなんで思ってたのかしら。」
すると、ミチルの携帯に見知らぬ番号で電話がかかってきた。
「は、はい。もしもし・・・」
「ミチルかい?大変なことになった・・・柏木響を知らないか?
どうしても彼に連絡がとりたいんだ!」
「ぎ、ギリアム様ですよね。横で声がするのはメラルーナ様ですか?」
「ミチル!王様が、王様が亡くなられたの。そしたら・・・お兄さまが、イディアム王子が・・・貴族や政治家をどんどん追い出して、怖そうな人たちをたくさん住まわせ始めたの。
これってどういうことなのか・・・。もうわけわかんない!」
「メラルーナ様、おちついてください。」
「ごめん、妻が取り乱して。とにかく、国王の側近をしてた彼なら、何か知っていると思うんだ。
このままではこの国は大変なことになる。
僕たちも今は、動かなければなんとか住まいに住まわせてはもらっているが・・・いずれ亡命せねばならなくなるかもしれない。
とにかく、この国の裏事情がどうだったのか知りたいんだ。
柏木はしばらく留守にするような口ぶりで部下に話していたらしいんだけど、君を追って柏木は日本に行ったという情報があってね。」
「私を追って?じゃ、あれは・・・」
「会ったんだね。なんとか彼に連絡をしてくれるように伝えてくれないか。」
「じつは会ったことは会ったんですけど・・・連絡先を教えてもらってなくて・・・。
でも、彼の経営しているという会社に当たってみます。
まさか、イディアム様がそんなことになるなんて・・・私も今混乱しています。
そのカギを柏木さんが握っているんですよね。」
「うん、彼は誰にも話をしていないから、彼が何を考えて何をしてたかを教えてくれる人がいない。
警察当局にきいても知らぬ存ぜぬばかりだ。
僕の勘にすぎないんだけど、とてつもない大きな事件が隠されていて、みんなで隠しているんじゃないかって気がする・・・。
そう思いたい・・・。」
「ギリアム様・・・とにかく、私は柏木さんをあたってみます。
日本にいることはわかっているんだから、できるだけのことをやってみますから・・・早まったことはしないでメラルーナやみんなを守ってあげて。」
「うん、すまないけど頼むよ。
それと・・・柏木に伝えた方がいいかと思って言うんだけど、お妃に選ばれたミアンナが殺された。」
「ええっ!!!」
「イディアムの妃として結婚式の準備もほとんどできてよろこんでいたんだけどね、殺し屋に撃ち殺された。
もし、ミチルがお妃になっていたらと思うと背筋が凍りそうだったよ。
キョウはもしかして・・・君を助けるために・・・なんて思ってさ。
あ、長くなってすまない。これできるからね。じゃ。」
(電話はギリアム邸の電話じゃない・・・。
ぜんぜん知らない番号だから、知り合いの庶民の家からね。)