夢への道は恋の花道?

1週間後、KKエンタープライズ主催のファッションショーと撮影会が行なわれた。


響はクランと酒屋に出かけた翌朝にはKKの事務所にもどって出勤していた。

会社の社員は連絡がとれずに心配していたと言い、響は発熱で寝込んでしまい個人宅で養生させてもらったと嘘をついていた。


練習のかいもあって、ミチルは他のモデルたちの末端で登場し、華やかな舞台に立った。
ショーは成功し、拍手の嵐を受け、その後のトップモデルたちの撮影会もにぎやかに終わった。



だが、クランの読みどおり、すべて撤収となったとき、数人のモデルたちが姿を消した。
何者かに誘拐されてしまったのだ。

そしてその中にはミチルも入っていた。



「クラン、予想通りモデルがいなくなった。」


「了解。どうやら特別機がついさっき飛び立ったようだ。
行く先はわかってるよな。

俺はこれから向かう。あんたどうする?」



「私はこっちでの弟の仇をとってからすぐに向かうよ。
それまで、ミチルを頼みます。」



「ああ、まかせろって。あんたの特殊な部下たちのおかげで、俺は護衛付きの特別な義賊な気分だぜ。あははは」


「義賊か・・・せいぜい義賊としてカッコつけろよ。」


「おう~さ。じゃあな」



響はあらかじめ専務と協力者たちを警察と協力して包囲していた。
そして、特別機を見送ったあとの専務たちを一網打尽で取り押さえた。


「こ、これは何の真似ですかね。
私は晴れの舞台の関係者の接待を1つ終えてきたところですが。」



「確かに証拠となる尻尾を1つ出してくれた。
それは礼を言わねばならないですね。

それと・・・何も知らないモデルたちをテラスティン王国へと接待してくださったようで、恐れ入りますね。
洋服についていたものは、すべて交換させてもらいましたのでね。


会話を録音したものはすでに警察が押収済みですし・・・あなたも続いて警察へ行ってきてもらいましょう。」


「くっ・・・」





その頃テラスティン王国内はギリアムたちがゲリラ戦を展開していた。
イディアムは弟たちがおとなしく自宅でじっとしていれば、普通に暮らせると言っていたが、ギリアムのもとには隠し通路や地下入口などを通じて命からがらで飛び込んできた国民もいた。

重傷を負いながら、血染めの直訴状を持って次々と村の代表や部族の代表が助けを求めに来ていた。

そのうち、情報をききつけたイディアム側の兵士がギリアム邸に砲撃をしかけてきたのをきっかけに、ギリアムとジュイムはイディアムに応戦することにした。

邸を出る直前に、ギリアムはミチルへとメールを送ったが、返事には数日かかっていた。


『ギリアム様、返信が遅れてしまってお許しください。
そちらは大変なことになっておられると知りました。

柏木さんの事情がいろいろとわかって、イディアム王子が裏で何をやっているかがはっきりしました。

近いうちにそちらへ向かいますので、私たちの仲間が入国するときに手伝っていただきたいです。
よろしくお願いいたします。

ミチル・カシワギ』



「ミチルはキョウと結婚したのね!」


「そうだね。それともうすぐ、ミチルに会えるようだよ。
何としても、こちらで保護をしなければならない!」


「そうね。こちらの強い味方を歓迎しなければ・・・」
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