夢への道は恋の花道?
その頃、クランの説明どおり、王宮の入り口各所で小さな爆発が起こっていた。
日本で得た情報をもとに、秘密警察陣は地下へとつめかけていた。
そして、柏木響はミチルのいるイディアムの部屋へと進んだ。
「ミチル・・・やっぱり君をお妃にしておけばよかったよ。
ギリアムのせいで、商売よりも戦争を重視せざるを得なくなってしまったから、この取引でしばらく静かに暮らそうと思っていたのに・・・。
いろいろほじくってくれたあげくに、最後の取引が小麦粉だらけになるとはね。
そして、僕の部下を君のお友達たちはしっかり料理までしてくれるとはね・・・。
いたずらが過ぎるね。お仕置きは痛いよ。」
「あら、こんないたずらかわいいものじゃない。
あなたのやった行動は完全に犯罪よ。」
そろそろ、地下室にはあなたの部下はいなくなってると思うわ。」
「なんだと?君は、どういう組織にいる人間なんだ!」
「私?そりゃ、お父ちゃんとお母ちゃんと妹とそして愛するダーリン、柏木ヒビキとの家族よ。」
「柏木ヒビキだと?キョウの弟か?」
「違うわ、キョウと呼んでた人がヒビキなの。
本物の教が弟であなたの部下に殺されたのよ。」
「それでかたき討ちか・・・。つまらん。
こっちはこの国の未来のためにもだな・・・。」
「薬でまみれた未来などあり得ないのは、おまえがいちばん知っているはずだ、イディアム!」
イディアムの部屋にいた数人の護衛はすでに消えていた。
響はすぐに、イディアムに銃を突きつけた。
「もう終焉の頃合いだ。地下を制圧して証拠がそろっている頃だ。
ギリアム王子たちが応援にきてくれたから、現物も押収していっている。」
「き、きさまっ!僕は、母をあざ笑うやつらの復讐をしていっただけだ。
正室でありながら、とんでもない仕打ち。
したくもない結婚を強いておきながら、ボロボロにして・・・。
そして次の王妃は何でもないフリをして愛情を注いでいるだと!
こっちはどんなにそれが余計なことだと思ったかしれやしないのに。」
「何が余計なことなの?
いちばんつらい立場におられたのが王妃様だわ。
自分で産んだ子を王位につけるわけにはいかないと遠慮したのに息子にグレられるわ、譲ってたててあげたあなたは犯罪者になって。
盛り立ててもらったあなたはそれに応えるべきなのに。」
「そりゃ、どうも。まぁ王妃に母が追い出されたわけではないという点では恨みはない。
しかし、最低な国王の妻には違いない。
ほんとに女ってのは、妻って呼ばれ方に寄って行くものだ。
ミチル、君には妻はやっぱり似合わないな。さらばだ。」
ズキューーーーーーン!!!
イディアムは隠し持っていた小型拳銃でミチルを至近距離から撃った。
「っ・・・」
「響さん!腕から血が・・・」
「このくらい大丈夫だ。でも、次がきたら腕がいうことをきかない。」
シュッ・・・シュシュ・・・
「うぁあああ」
イディアムの背後からクランの投げたナイフがイディアムの脇腹へと刺さった。
「フッ・・・飼い犬か。ナイフを投げる相手が違ってるよ。」
「何をバカなことを・・・」
「おまえは僕を殺せない。姉の身柄はこちらにあるのだからな。」
「なっ・・・嘘だ!俺はちゃんと警護をつけていた。
まさか・・・!」
「特殊なヤツらをいかせたからな、警官など取るに足りない。
どうした?
姉を殺されたくなかったら、あいつにとどめをさせよ。」
「クラン!やめて。そんな情報きっと嘘だわ。」
「ああ、ウソかもしれない。けど・・・姉ちゃんは、せっかく助かったのに。」
「お前がそう信じてるなら私を殺せばいいだろ。
どうせ、いつも対決してた相手だ。
戦い方はすっかりお見通しだ。」
「うるさいんだよ・・・こうなりそうな予感はしてたんだ。
所詮、俺らは敵同士だ。
けど・・・トドメはもらったぜ!」
「ふふ、つめがあまかったな・・・・おおおおわっ・・・何!?
血、血がどくどくと・・・どうして・・・。」
「お前が捕らえた姉さんは偽物なんだよ。
最近の特殊メイクってほんとに便利だよな。
その偽物さんだってタダモノさんじゃないから、勝ったみたいだぜ。
それに、いつのまにか響と俺は兄弟さんになっちまったし、日頃の仲良し訓練のおかげで息もぴったりになっちまったよ。なっ」
「あまりうれしくないが、親戚付き合いはしっかりとやっておかないといけない教訓がある。
じゃ、そろそろ逮捕者はそろっている頃だから、イディアム王子は私と病院にでも行きましょうか。」