夢への道は恋の花道?
一足早く、日本へ帰国したミチルは実家でいろいろと両親に説明したあと、すぐにフランスへ旅立っていった。


テラスティン王国はギリアムを中心として復興することになり、亡くなったと報道されていた王妃はじつはジュイムによってある場所に匿われていたことがわかった。


病院を退院した響はミチルが去ってしまったことに動揺していた。

(まだお礼も言ってないのにひどい仕打ちだ・・・。
捜すのは簡単だろうけど、会いに行けば素直に会ってくれるのだろうか。

行動はいつも優位に立っているはずなのに、ミチルのことになると気持ちがぐらついてしまう。
嫌われるのがそんなに怖いのか・・・怖いですね。
私にもやることがたくさんあるけれど、今のままでは手につかない。

せめて君の怒った顔でも見ていないとやる気がしないです。
だから・・・私は。)



響は2つの会社の代表を決め、自分は出資者と役員扱いということにして毎日出社することはなくなった。


そして、ミチルの実家を訪ねて挨拶をしにいくと、クランとミナトが待っていた。


「やって来ると思ってたぞ。」


「なぜ、そんなイヤラシイ笑顔をしているんだ?・・・2人とも。」



「だってお姉ちゃんに会いにいくんでしょう?」


「そ、それは・・・。」


「お兄ちゃんが迷ってる。居所はクランにが知ってるくらいだからわかっているんでしょう?」


「逢いにいってどうすればいいか、正直困ってるんだ。
テラスティンにいたときや私の弟の事件に関することもすべて終わってしまって、そばにいる接点が・・・。正当な理由がないから、行っても嫌われるんじゃないかと。

結婚に応じてくれたときも、籍は一段落してから入れればいいって、あのときは私も自分が無事でいられる保証がなかったから同意してしまったけれど、まさかこんなことになってしまうなんて思わなかった。」



「さすがお姉ちゃんっていうか・・・バカだよね。
だってさぁ~~~お姉ちゃんは庶民代表のお嬢様なのに、大切な執事さんを忘れていっちゃうんだから、間抜けだよぉ。ね~~~」


「あ・・・ミナトちゃん。」


「置いてけぼりの執事か。こりゃいい。
そりゃ、急いで追いかけないといけないなぁ。
お嬢様が身の回りのことで悩んでいるかもしれないし、外出時もチカンが出るって困ってるかもしれないよな。」


「クラン・・・きさま。
2人ともありがとう。お父さんやお母さんによろしくな・・・。」


「お兄ちゃん、お兄ちゃんの実家はここだからね。
お姉ちゃんとまた帰ってきて。」


「ああ、じゃ行ってきます。」
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