夢への道は恋の花道?
お茶にしましょう
ミチルはパリにある服飾関連の専門学校に入学していた。
(KKの専門学校でもよかったんだけど、やっといろんなことから解放された響さんのお荷物になるのは嫌だったし、やっぱり私のいちばん見たいものはここにあったんだからパリコレもある地がいちばんだよね。)
学校には女子学生寮も完備されていて、ミチルは楽しく寮生活を送っていた。
その日のお昼休みのこと・・・ランチをしながら、いつになく女子学生たちが何か騒いでいたので、ミチルは何があったのかを友人に尋ねてみた。
「ねえ、みんな何をそんなに楽しそうに騒いでるの?」
「あのね、自宅生のコたちが発見したらしいんだけどね、学校前に停まるバスに乗って3つ目の停留所のところに、カッコイイギャルソンがいるカフェがオープンしたんだって。
オーナーは日本人らしいんだけど、お世話してくれるイケメンがね、フランス人はもとより、アメリカ人、イギリス人、オーストリア人って多国籍なんだそうよ。」
「へぇ、面白そうね。」
「あっ!あなた行ってみた方がいいわ。」
「どうしたの?」
ミチルは周りの数人がみんなミチルの顔を一斉に見てしまったので少し驚き顔をしている。
「なんかね、見かけが日本人っぽい若い女性がカフェの席に座ると、必ずオーナー自ら、ご挨拶に来られるらしいの。
きっと恋人でも捜してるんじゃないかって話よ。
パリで恋人捜しなんてロマンチックじゃない?」
「そ、そうねぇ。でも、そのお店すごいのね、まだ開店してそんなにたってないんでしょ?」
「オーナーのお話といい、おしゃれさといい、男性がお世話してくださるのは乙女たちの夢よ。
とくに私たちのようなファッションの世界で生きて行こうという女にはね。
いくら自分がデザインしたドレスが納得がいく作品だったとしても、そのドレスを見せたい相手がいなきゃ、夢がなさすぎるもの。
他人に提供だけするために、日々勉強してるわけじゃないもの。」
「そういわれればそうね。
ねえ、今度誰かそのカフェに行くんだったら私を誘ってくれない?」
「あ~私は放課後あいてるから行けるわよ。
ミチルと行けば、噂のオーナーの挨拶付きなんだよね。
いっしょにいきましょう!」
「ありがと、キャシー。フランス語も堪能なあなたが連れていってくださるなら、とっても心強いわ。
私まだフランス語って日常ぎりぎりだし、あとは専門用語くらいしか覚えてないんだもの。」
キャシーとミチルがオーナーの挨拶がしてもらえるという話をききつけて、数人の女の子たちも寄ってきて、放課後いっしょにカフェに行ってみることになった。