夢への道は恋の花道?
それから2人は夫婦として同居して暮らしながら、日中はミチルは学校に、響はカフェのオーナーとして過ごしていた。
「う、おぇ・・・。もしかして、私?」
ミチルは翌日、学校へ行くふりをして病院へ行った。
そして、予想はしていたとはいえ、妊娠している事実をきかされた。
「子どもを育てるだけなら何も困りはしないわ。
経済的に苦しいわけでもないし・・・でも・・・。」
せっかく学校へ再び通っていいと生活を始めたのに、卒業できない状況になってしまったことをどう説明すればいいのか?
きっと仕方ないと言ってくれるだろうけれど、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。
響に妊娠の話をする前に誰かに聞いてほしいと思ったが、フランスにはそんな知り合いはいなくてミチルは家のベッドで寝ころびながらため息をついていた。
そんなとき、ミチルの携帯にミナトから電話がかかってきた。
「もしもし、お姉ちゃん、元気?
なんかクランからきいたけど、めんどくさいことになってたんだって?」
「うん、でももう大丈夫よ。クリスが解決してくれたの。」
「ああ、クランのお姉ちゃんががんばってくれたのね。よかったね~。
あ、ところでさ、昨日の夜遅くにテラスティン王国のメラルーナって人から電話があって電話してほしいんだって。
電話番号言うよ。」
「えっ?メラルーナ様って今、テラスティン王国の王妃様のはずだよ。
あんた失礼な口のきき方しなかったでしょうね。」
「ええぇーーーーー!!!どうしよう。お姉ちゃんの友達かと思ったわ。
やばい?私、死刑になっちゃうかな。」
「バカ、そんなわけないじゃない。犯罪は犯してないんだから。
それにメラルーナ様とはお友達といってもいい仲だし。
うん、わかった電話してみるから。連絡ありがと。
みんなによろしくね。」
家の電話に持ち替えてメラルーナの連絡先へミチルは電話をかけた。
「ミチル?ミチルなのね。ああ~久しぶり。
あの、もう知られていると思うけど、ギリアムが王様に即位したので私が王妃になったの。
それで、近々即位式のあと個人的なお友達を集めたパーティーをしようと思うのよ。そのお誘いなんだけど・・・。」
「わぁ、おめでとうございます。
そちらもいろいろと大変だったのに、ギリアム様とメラ様はほんとに手をとりあってがんばられて国民からもすごい指示だというお話は有名です。
あとで響さんと相談してお祝いにお伺いしますね。ふう・・・。」
「ありがとう、うれしいわ。でも・・・なんか最後に溜息なんて・・・?
何かあったの?
あなたと私の仲だもの、女性の悩みならのれるわよ。」
「あ、じつは・・・」
ミチルはメラルーナに妊娠したことを告げ、それまで学校をやめるか続けるかの事件と経緯を話したのだった。
「まぁ、災難にあってたのね。
でも、愛する人との子宝ですもの、あなたも答えは出せているのではなくて?
そうだわっ!あなたたち、テラスティンに残りなさいな。
そして、こっちで出産するのよ。」
「ええっ!!!!どうしてそうなっちゃうんですか?」
「うん、それがいいわ。パリはみんな引き払ってきなさいよ。
こっちは治安もそこそこ安定してきたし、私たちもあなたがたといると楽しいし、ドクターの体制も万全よ。
それと、お針子とかデザインを学ぶにも、テラスティンは何の産業が盛んだったかしら?」
「それは、繊維で・・・特殊な花もあって・・・あっ。」
「ねっ、こっちで学べばいいじゃない。
なんだったら、うちの子といっしょに赤ちゃんみてあげるわよ。
王宮ではベテランナニーも抱えているわ。」
「甘えちゃっていいんですか?私としてもうれしいお話ですけど。」
「もちろんよ、響にきちんとお話しなさいな。
2人はテラスティンの国民。
私すごく待ち遠しいわ。ぜひ、早くいらしてね。
なかなか来ない場合はギリアム国王から王命を差し上げますわ。
おほほほほ」
「まぁメラ様ったら。王命のお手間をとらせないように向かいますので、よろしくお願いします。」