夢への道は恋の花道?

それからミチルは勇気を出して、仕事から帰宅した響にすべてを話した。


「私たちの子どもが!・・・ああ、なんかまだ実感はありませんが、うれしいようなワクワクするような・・・。妙な気持ちですね。

で、学校のことですか?
ミチルのしたいようにすればいいんです。
私は決めたと言ったじゃないですか。

あなたの夢に向かっていく手伝いをしたいと。
どこでもついて行くし、サポートできるところで生きていきたいって。」



「響さん・・・。よかった。私、また勉強を疎かにしたって叱られるんじゃないかって思ってたの。」


「そんなこと心配してテラスティンに電話したのですか?」


「ううん。ミナトがメラ様からの電話があったって知らせがきてね。
即位したパーティーをするから来てほしいてことだったの。

それで、つい・・・相談を。」


「そう。メラルーナ様がそう提案されたのなら、行くしかないでしょう。
こちらを引き払ってね。」



「響さん・・・。だけどせっかくお店も住まいも用意してくれたのに。」


「あ、ちょっとだけお金はかかるけど心配はないよ。
きっと買い手は見つかるし、ここは田舎ではないから大丈夫。

学校は・・・ミチルは退学したことないから知らなかったんだね。
勉強した内容を学校で打ち出してもらえば、続きから他校でも勉強できるはずだから、正規に手続きをすればいいよ。」


「ほんと!じゃ、テラスティンで子育ても勉強もできるようになるのね。
わぁ、うれしいわ。」


「まさか、故郷で親になれるとは思ってなかったけれど、ミチルのおかげで故郷に錦を飾れます。」



「もう、響さんったら・・・そんなジジクサイこと言っちゃって。」


「あ・・・おぃ・・・。」


2人は翌日から、テラスティンへ移動するべく、荷造りや準備におわれることになった。

ミチルの友人、響の店の店員や常連客たちに挨拶をして、2人はテラスティンへ王国へと引っ越していった。



「ただいまぁ!!!」


テラスティンの空港から王宮まであっという間に移動することができた。
響がミチルの傍にいることもあって、警備も少なく、庶民とほとんど変わりなく街を移動することができた。


メラルーナが飛び出してきてミチルに抱き着いて喜んだ。
後ろから子どもたちの手をひいたギリアムも温かく迎えてくれた。


「久しぶりだね。このとおり、王様なんて柄にもないことをやってるよ。」


「いえいえ、イディアムの罪滅ぼしもあなたが積極的にがんばった成果が今のテラスティンに大きく反映しています。

私は恨みを抱えながら、事件を解決することばかり考えてきました。
すべてが終わったときも、病院のベッドで半信半疑で終わったという気持ちの区切りがまだできていませんでした。」


「でも、そのわりには今の響は幸せが歩いているように見えるけど・・・。」



「ええっ・・・ま、まぁ。ありがとうございます。」


「とにかく、君とミチルが仲睦まじくてよかった。
ミチルを追いかけていった君を応援してたんだからね。」


「ありがとうございます。陛下。」



「まぁそんな堅苦しくならないで、さて・・・僕からのプレゼントといっては何だが、この後秘書に新しい住まいまでお連れするように言ってあるので行ってみてくれ。

気に入ってもらえるといいんだけどな。
何せ、内装はメラの趣味が多くて、びっくりするかもしれんが、そこはミチルと相談してリフォームしてもらってかまわないから。」



「わぁ、王様ありがとう~。私、おふたり自ら手掛けてくださるなんてなんて幸せ者なのかしら?

これはがんばって元気な子どもを産まなくちゃ!」



「ミチル・・・そこまではりきったら、はずかしいです。」


「響さんったら・・・もう、またそんなカワイイこと言っちゃって。」


「私がこんなふうになってしまったのはミチルのせいです。
そして、みんながこうやって明るく話せるのもね。」


「響さん・・・。」




その後、ミチルはテラスティン王国が誇るデザイナーとなり、麻薬のような悪い植物の使われ方を防止するシステムを築き、世界にテラスティン製の織物の各種を発表し、紹介していった。

響は日本の会社を含め、テラスティンの繊維工場の管理者とセキュリティの研究チームにも参加して国の平和に尽力した。


お妃選びイベントによって引かれあった2人はミチルの日本の両親に負けないほどの愛情あふれる家庭を築き、家族も増えていったという。



おしまい・・・。
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