キミが好き。
【1】
先輩と後輩
「う〜寒い寒い!!」
12月初旬。
例年より早い冬が始まったせいか、気温は氷点下に近い。
「七瀬、ちゃんとヒートテックとか着てるの?」
「着てるけど、冷え性すぎてあんまり意味ない」
背中とお腹にカイロを貼ってるのにも関わらず私の体は冷える一方だ。
一番の原因はバイト先であるこの店にある。
創業30年の喫茶店であり、窓にはあちこちに隙間。
さらにはエアコンなんてあってないようなもの。
ほとんど効かない。
お客さんはコートを脱いでないし。
なのに私たちは半袖の制服に身を包んでいるんだから、あったまりゃしない。
「本当、可哀想だな、お前は」
「あ、関さん!!遅いですよ、遅刻遅刻」
ゆっくりとマイペースに店に入って来る彼。
バイト開始時間まであと3分ほど。
みんなもう集まってるのにも関わらず、優雅なもんだ。
周りの人は諦めて注意なんてしない。
私をのぞいて。
相川 七瀬。
大学2年生。