初恋はイケメンヤンキー
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本当によかったのかな?



水沢くんの意見も聞けずに、京子さんの押しに負けてつい首を縦に振っちゃったけど…。



京子さんにも…迷惑じゃないかな?



わざわざあたしの分の材料を買いに行ってくれて。



なんか、申し訳ない気持ちでいっぱい…。



「日野。ごめん」



隣でリビングのソファーに腰をかけている水沢くんが謝った。



「え?」



「だって、母さん強引にさ…」



水沢くんはすごく気まずそうな顔で、俯いたままそう言った。



あたしはそんな水沢くんを、床に座って少し見上げた。



なぜか頬が緩み、笑みがこぼれる。



「謝らないで?あたし、うれしかったの」



「うれしかった?」



水沢くんがありえないといった表情でこちらを向く。



「うん。なんかね、少し…少しだけ、水沢くんに近づけた気がしたから…」



…あ。



何言ってるんだろう。



これじゃあ、水沢くんが好きですって告白してるようなものじゃない!



「えっとっ…そのっ…あのね!」



必死にごまかそうと試みる。



あたふたしているあたしを見て、水沢くんが笑みをこぼした。



「わかったから。そんな慌てんなよ」



そう言ってハハッと笑った。



そんな水沢くんの笑顔に心がトクンと音を立てる。



心地よく、愛しさが溢れる。
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