初恋はイケメンヤンキー
「ふぅっ」



あー、くすぐったかった。



まだ顔が笑い顔のまま戻らないし。



マジメって認めちゃったし。



那智ちゃんって時々強引なとこあるんだよね。



まぁ、憎めないんだけど。



「ほら、行くよ~」



立ち止まったあたしに気づいて、那智ちゃんが振り返って言った。



「えっ、うん」



そして那智ちゃんはあたしの手をとって歩き出した。



____...



那智ちゃんと手を繋いだまま、屋上のドアの前まで歩いてきた。



話し声がする。



しかもほとんどが男子の声だし...。



あきらかにヤンキーっぽい話し方だし...。



こ、怖くなってきたよ~!!



「な、那智ちゃん!」



「ん?どした?」



キョトンとして那智ちゃんが振り向いた。



ドアノブに手をかけている。



それを見て、あたしは焦り始めた。



なんとしてでも、このドアを開けてはいけない。



心の中のあたしがそう言っている気がした。
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