初恋はイケメンヤンキー
「千夏。水沢くん、あっちにいるってさ」



「あ、うん。ありがとう」



那智ちゃんの言うほうに歩いていく。



あっ、いた。



…でも…。



なんで水沢くんは、こんなにヤンキーたちに囲まれてるの?!



…あ、水沢くんもヤンキーだ。



ヤンキーの群れを見渡すと、女子もいる。



うぅ、視線が痛い。



なんか、睨まれてる気がするし…。



「那智ちゃ…」



あたしは那智ちゃんにSOSを出そうと振り返った。



えー!



もう、さっきの男子たちと話し始めてる。



あれじゃあ、あたしの声に気づいてくれないよ。



どうしよう…。



1人であの中を通るのは怖いよ…。



早くプリントを渡して逃げたいのに。



…そっか。



素早く渡して、素早く逃げればいいんだ!



よしっ!



でも、まずは水沢くんのところまでどうやって行くのか考えなきゃ。



これじゃ歩く場所もないし。



水沢くんにこっちに来てもらうしかないか。



「水沢くん」



ふつうのボリュームの声で呼んでみた。



…。



あれ?



聞こえないのかな。



「水沢くん!」



今度は結構大ボリュームで呼んでみる。



気づくかな?



早く気づいてー!
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