初恋はイケメンヤンキー
誰…?



視界がぼやけてよく見えない。



「だよね〜。ほら、圭斗も言ってんじゃん。地味子は黙ってろよ」



え、水沢くん?



さっきは助けてくれたよね。



でも、そっか。



やっぱり優しさなんてないんだね。



助けてくれるんじゃないんだね。



こんなあたしを笑いに来たんだ。



最低。



最悪。



「バッカじゃなねーの?ブスはてめーだよ」



…え?



「はぁ?ちょっとひどくない?!いくら圭斗でも許さないわよ!」



「あ?てめー、何もしてないヤツぶっといて、んなこと言えんのかよ」



すごく、低い声。



あたしがプリントを渡したときに聞く水沢くんの声とは全く違う。



いつもはもっと明るくて、心地いい声をしてる。



なのに、今は…怖い。



「ほら、さっさと離せよ」



「〜っ!もう、知らない!」



「ひゃっ」



ートサッ



いたっ…くない?



なんて乱暴に離すのよ。



でも、やっと解放されたぁ。



ぶたれたところはまだじんじんして熱い。



あたしは自分の頬に手をやった。



ーカタカタ



あ、まだ震えてる。



涙も、止まらないや。



なんか、ホッとして…。



全身の力が抜ける。



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