初恋はイケメンヤンキー
_____



トイレの鏡の前で考える。



わからない。



なんで、さっきから胸が痛むの?



いや、痛むのは胸じゃないのかも。



胸の奥深く…心?



この前のも、さっきのも心の痛み?



じゃあ、なんでいつも水沢くんが関わってるんだろう。



…なんて、考えるだけ無駄だよね。



こんなの初めてなんだし、だんだんわかってくるはず。



水沢くんと那智ちゃんのところに戻ろ。



あたしは鏡で確認しながら前髪をチョイチョイっと整えて、トイレを出た。



_____



「あ、千夏遅かったね。大丈夫?」



あたしが戻ると、もう荷物を整理していた。



あたし、そんなに長くトイレにいたっけ。



「ごめん。大丈夫だよ」



「うん。あ、あのね千夏」



「ん?何?」



「今度水沢くんの友達も一緒にプールに行こうってなったんだけど、千夏も来るよね?」



え、プール?!



て、ことは水着だよね…。



そ、それは恥ずかしいよ!



「那智ちゃ…」



断ろうと那智ちゃんを見ると、「一生のお願い!」とでも言いたげな顔で、両手を合わせていた。



そ、そんなふうにされたら…。



「うん、いいよ〜」



断るわけにはいかないじゃない!



那智ちゃん、あたしが頼まれたら断りづらくなるのをいいことに…。



まぁ、いつものことだから慣れちゃったけど。



いつも助けてもらうから、これくらいしてあげなきゃね。
< 35 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop