初恋はイケメンヤンキー
あたしは水沢くんのことなんて好きじやない。



…はず。



だって那智ちゃんの好きな人だもん。



あたしが好きになるはずない。



もし好きでも、那智ちゃんを応援しなくちゃ。



「千夏〜?」



「へっ?!」



「どーしたの。ボーッとして」



あ、あたしボーッとしちゃってたんだ。



たまにやっちゃうんだよな〜。



「ごめん、考え事してた」



「何考えてたの?」



「秘密〜」



水沢くんが好きかも、なんて言えないよ。



「ほら、気になるから言えよ」



み、水沢くんまで?!



なんて言えばいいんだろう?



ん〜と…。



「くだらないことだから、ね」



「む〜」



「なんだそれ。変なヤツ」



那智ちゃんはふてくされて、水沢くんは笑いながら受け流してくれた。



ーホッ



よかった〜。



今度から言い訳考えとこ。



「ね、このまま帰るのもなんだし、ショッピング行かない?!」



ショッピング?!



行きたい!



…でも、ここは気を使ったほうがいいよね。



せっかく那智ちゃんが水沢くんと2人きりになれるチャンスなんだから。



「ごめん、那智ちゃん。あたし、用事思い出しちゃった」



「え〜、そっかぁ。じゃ、また今度にしよっか」



えー!



それはダメ!



「み、水沢くんと行ってきたら?」



「え…」



那智ちゃんの頬が真っ赤に染まっていく。



「あたしはいいからさ」



「…わかった」



へへっ。



可愛い。



絶対水沢くんも惚れちゃうよ。



ーズキン



そう、惚れちゃう。



水沢くんが那智ちゃんの…。
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