初恋はイケメンヤンキー
ードキドキドキドキ



今、教室に2人きりだよね?



き、緊張するよー!



顔赤くなってないかな?



変なとこないかな?



あたしが焦ってる中、水沢くんは何事もないようにあたしの隣に座った。



「日野〜」



「は、はい?!」



「あっち向いてほいっ」



……。



あたしが振り向くと、いきなり始まった「あっち向いてほい」。



思わず指を追いかけちゃったよ…。



「日野の負け」



水沢くんはそう言いながらクックッと笑った。



むぅ。



あたしだって。



「水沢くん」



「ん?」



「あっち向いてほいっ」



「へへっ。残念でしたー」



く、悔し〜!



水沢くんはあたしの指したほうと真逆を向いた。



それから延々と「あっち向いてほい」が続いた。



_____


「う〜…水沢くん強すぎ」



あたしが拗ねてそう言うと、



「日野が弱すぎんだよ」



と、笑いながら水沢くんは言った。



ーガラッ



そうしている間に時間になって先生が教室に入ってきた。



あれ、もうそんなに時間経ったの?



水沢くんと「あっち向いてほい」してたらあっと言う間だったな。



…もしかして待ってる時間に退屈しないようにしてくれたの?



水沢くん。



あたしが水沢くんを見つめていると、こっちに気がついた。



「どした?」



「へへっ。ううん、なんでもない」



「あっそ」



水沢くんはまた黒板に顔を向けた。



あーあ。



この時間がずーっと続けばいいのにな。
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