初恋はイケメンヤンキー
「悪かったって。ほらこっちこいよ」



オレが謝ると、日野は拗ねながらもこっちに来た。



しかもなんでか顔真っ赤だし。



なんでだ?



ま、なんでもいいけど。



日野が隣を歩いてるだけで幸せだし。



立ち止まっていた足をまた動かし出す。



今度は日野のペースに合わせて。



ゆっくりと、ゆっくりと。



チラッと隣にいる日野を見てみると、ニコニコして歩いている。



ふっ。



さっきまで拗ねてたんじゃねぇのかよ。



おもしれぇヤツ。



「結局補習だけでもうお昼すぎになっちゃったね〜」



「だな。オレ1人だったら逃げてたかも」



オレは笑いながら日野に言った。



すると日野も笑いながら「あたしも」と言った。



「日野でもんなこと思うんだな」



意外だった。



「そりゃ、思うよ。あたしだって人間だもん」



なんだそれ。



例え方がおかしいだろっ。



やべー、笑いが…くくっ。



「ははははっ」



こらえきれなかった。



「ど、どうしたの?!あたしなんか変なこと言った?!」



すっげー驚いてるし。



「言ったよ…くっ、ははっ」



「えー、何って?」



すごく気になるらしく、オレの顔を覗き込んで来る。



何って言われてもな〜。



「秘密」



うん、秘密だ。



説明するのめんどいし。



「ケチー」



日野はそう言いながら、またぷぅっと頬を膨らませる。
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